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第五章
新作のお菓子の材料を求めて
しおりを挟むお昼休憩に入ったところで、俺はここからの営業を少しみんなに任せることにした。
「みんな、ここからの営業は任せるよ。」
「お出かけですかぁ?」
「あぁ、ちょっと新作のお菓子の材料を探しに行ってくるよ。」
「新作!?」
その言葉にユリが興奮したように聞き返してきた。
「どんなお菓子を作るんだ!?」
「それはまだ未定だ。いろんな材料を見て、どんなお菓子を作るか決めてくるよ。」
一度みんなに営業を任せて、俺は一度王宮へと戻った。そしてとある人物の部屋へと向かう。
「フレイ、いるか?」
「いるいる~!!」
部屋をノックして声をかけると、パタパタと慌ててフレイが飛び出してきた。
「えへへ、お待たせ。」
「それじゃあ行こうか。」
「うん!!」
フレイとともに、俺は市場の方へと歩いていく。昼間になってもまだここは賑やかだ。
「ヒイラギさん、今日はお菓子の材料を見に行くんだよね?」
「あぁ、ちょうど今日……ミルタさんがこの市場の通りにお店を開いたらしくてな。」
今回の仕入れ先は、ミルタさんのお店からにしようと思っていたのだ。話を聞いたところ、なにやら獣人の国の特産品とかをたくさん仕入れられるルートを確立したとか……。
最初こそ、どこから手を付ければいいのか迷っていたが、一歩を踏み出してからは早かったな。
「確か、一番奥って言ってたよな。」
流石に市場の中央付近に土地を買うことはできなかったらしく、一番端に店を構えたと言っていた。
「そこに行くまでに、少し市場を見ながら歩いていこうか。」
「そうだね。」
ミルタさんの店に赴く前に、フレイと一緒に市場に売ってある色んな野菜や果物、そして肉などを見て買いながら歩いた。
買い物をしながら歩いていると、あっという間に市場の出口付近へと辿り着く。
「多分この辺だと思うが……。」
「あっ、あれじゃないかな?」
フレイが指差した先には、獣人族の言葉と人間の言葉で看板に『ミルタ商会』と書いてある不思議なお店がポツンと建っていた。
「あれみたいだな。」
早速その建物の扉をノックしてみると、驚くことに獣人のメイド服を着た女性が出迎えてくれた。
「あなた様は……ヒイラギ様ですよね?ようこそいらっしゃいました。」
「今日はミルタさんはいるかな?」
「少々お待ちくださいませ。」
それから少しすると、奥の方からミルタさんが急ぎ足でこちらに向かってきた。
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