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第五章
エンリコから聞き出した情報
しおりを挟む料理もすっかり無くなって、三種族集まっての宴会が終わり……酔いつぶれたドーナ達を背負ってシンの王宮の空き部屋へと運ぶ。
シア達も寝静まった後で、俺は静かに部屋の外に出た。
「ヒイラギ様、本日はお疲れ様でございました。」
外に出るとレイラが、出迎えてくれた。
「それじゃ、案内頼む。」
「お任せください。」
レイラに案内されて、俺は王宮の中にある秘密の会談場所へと向かう。すると、そこではシンが待っていた。
「よく来てくれたなヒイラギ。」
「大事な話があるんだろ?」
「うむ。では参ろう。」
「ごゆるりと……。」
そしてシンと共に秘密の浴場へと向かい、お互いに湯船に体を沈めた。
「はぁ~……やっぱり風呂はいいな。」
「うむ、まったくその通りだ。まぁ、まずは一杯……。」
「ん。」
あれだけ宴会で飲んだのに、ここでも飲むのか……という野暮なツッコミは無しだ。
湯船に浸かりながら、冷えた芋酒を流し込むと早速シンが話し始めた。
「今日話しておきたいのは、他でもないエンリコのことだ。」
「あぁ、尋問してたんだよな。」
「うむ。尋問を専門としている者が、エンリコからある情報を引き出したのだ。」
「おぉ!!お手柄だな。で、何の情報が得られたんだ?」
「奴の話によれば、死の女神はエンリコのような幹部を超える力を持つ、何かを作っているということだった。」
「幹部を超える力……。」
正直な話、エンリコはみんなで協力したからこそ倒せた。今だって一人で戦ったら……勝てる自信はあんまりない。
「でも、そんなに簡単に作り出せるものじゃないだろ?」
「うむ。それは間違い無い。だが、奴の話では既に依り代となるものは出来上がっているというのだ。」
「依り代って……何かを取り憑かせるってことか?」
「そこまで詳しいことは聞き出せておらぬ。」
「そうか。」
まさか、今の今まで一度も妨害を仕掛けてこなかったのは、それを完成させるため?奴らが三種族がまた手を取り合おうとしている時に邪魔をしてこないなんて、それ以外に理由は考えられない。
「できるならば、それが完成する前に死の女神の一団を壊滅させたいところだ。」
「そうしたい気持ちはわかるが……奴らのいる拠点もわからないし、そもそもめちゃくちゃ強い幹部の奴らがまだ残ってる。」
「うむ……。」
今はまだこちらから何も手を出すことができない状況に、シンは少し悔しそうな表情を浮かべていた。
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