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第五章
三種族集合
しおりを挟むそれから少しして、俺はフィースタとカリンとともにこの前通った、獣人族の国へと繋がる秘密の抜け道のある場所へとやってきていた。
「さて、では行くぞ。」
魔法陣にカリンが手を触れると、視界がまばゆい光で覆い尽くされる。次に目を開けると、俺達は先程までとは違う森の中へ場所が移動していた。
「問題なく着いたようだ。さて、面会場所へ向かうか。」
パン……とカリンが両手を合わせると、俺とフィースタの足元に魔法陣が現れる。
「転移……獣人族の王都へ。」
カリンがそう唱えると、一瞬で景色が切り替わり、俺達は今日の面会場所である獣人族の王都……その中でもシン達がいる王宮の目の前まで移動してしまっていた。
「ん?此方が知っている建物とは随分違うな。やはり100年以上時間が経てば、国も変わるということか。」
まじまじとカリンが王宮を眺めていると、メイドさんに連れられてシンとエートリヒが急いでこちらへ走ってきた。
「遠路はるばる、よく来てくれたエルフの方々よ。我は獣人族の王のシンだ。」
「エルフの方々はじめまして、私は人間の王エートリヒと申します。」
「むむ、手厚い出迎えに感謝する。此方はエルフの最長老のカリンという。」
「私は国長のフィースタです。よろしくお願い致します。」
どうやらカリンとフィースタの二人は言語理解のスキルを持っているらしく、シンとエートリヒとも普通に会話できている。
一先ずファーストコンタクトは成功か……と一つ安堵のため息を吐いていると、カリンがチラリとこちらを向いた。
「二人に一つ質問があるのだが、この社長のことは知っているか?」
「「社長!?」」
二人は思わず驚いて俺に視線を向けてくる。そう言えば、二人にエルフの国で会社を作ったって言ってなかったかな。
「うむ、社長はこちらの国でお菓子を売る会社を作ったのだ。……して、社長のことを知っているのか?」
「か、彼のことはよく存じ上げていますが…………。」
「ヒイラギはこの国を救った勇者なのだ。そして我の友である。」
困惑しているエートリヒの横で、シンは誇らしそうに胸を張っていた。
「ん、これで一つ確証が得られた。感謝する。おっと、そうだそうだ。エルフの国の特産品を土産に持ってきたのだ。良かったら食べてくれ。」
そしてカリンは二人にどら焼きが入った袋を手渡した。渡された二人は、さっきの会話から俺が作ったものだと理解したようで、受け取った後チラリと俺の方へと視線を向けてきた。
「ありがたく頂こう。ではカリン殿にフィースタ殿……立ち話はこの辺にして、後は座って話そう。」
王宮の中へと入っていくみんなの後についていこうとすると、何やら背後からドドド……と地を揺らしながら何かがこちらに急接近してきた。
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