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第五章

ダークエルフ

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 翌日、今日の販売当番のアンネと共にお菓子を販売していると、フードを被ったエルフがお菓子を買いにやってきた。

「いらっしゃいませ~!!」

 アンネが眩しい笑顔で接客するが、フードを被ったエルフは何も反応はせず、俺の方に顔を向けてくる。

「なるほど、貴様がこの国に迷い込んだ人間か。」

「え?」

 状況を理解する暇なく、フードを被ったエルフの懐がキラリと光る。

「アンネ、ちょっとごめん。」

 咄嗟にアンネを下がらせて、フードのエルフの手を掴む。

「お客様、困ります。」

「なるほど多少腕は立つようだ。だがそれ故に信用はできない。」

 彼女は俺の腕を振りほどくと、大きく後ろに下がった。すると、その勢いでかぶっていたフードが外れて素顔があらわになる。

「黒い……エルフ?」

 そのエルフの肌は黒く、普通のエルフの真っ白な肌と対になっていた。

「エルフと大まかにまとめても、その中には二種類のエルフがいるのだ。一つは一般的に肌が白いエルフ……そしてもう一つはこのアタシみたいに肌の黒い、。」

「ダークエルフ……。」

「ただ肌の色が違うだけじゃないぞ。アタシ達ダークエルフは、普通のエルフよりも魔力が多い。つまり……強いんだ!!」

 すると彼女は、手にしていた黒塗りの短刀をこちらへと向かって投げつけてくる。

「あっぶないな……俺以外の誰かに当たったらどうするつもりだ?」

「そんな初歩的な過ちは犯さない。」

「いっ!?」

 そして続け様に2本……3本と短刀を投擲してくる。

 背後にはアンネがいるため、避けられないから、その全てを掴み取って無力化するしかない。

「フハハハッ!!防戦一方だな、所詮は人間……口程にもな…………いだっ!?」

 勝ち誇っていたダークエルフの頭に、ゴチン……と生々しい音を響かせて、拳骨が落ちる。

「まったく……ダークエルフであることに誇りを持つことは一向に構わんが、他者に迷惑をかけていることに気付け、このバカ娘。」

 拳骨を落としたのは、他でもないカリンだった。頭にたんこぶを作り、地面をゴロゴロと転がるダークエルフを見て、大きなため息を吐いている。

「バカ娘が迷惑をかけたな社長。」

「い、いやまぁ全然大丈夫でしたけど……それより、このダークエルフの人ってもしかして。」

「その推察で合っている。此方の実の娘のだ。」

 客人ってカリンの実の娘さんだったのか……それならそうと早く言ってくれればよかったのに。
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