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第五章
フルーツ大福
しおりを挟む早速俺は二人の前で、粉と水と砂糖を混ぜ合わせて捏ねていく。
「そう言えばこの粉にした穀物って、何ていう名前なんだ?」
「もちっとしてるから、もち麦ってウチは呼んでるよ。」
「ふむふむ。」
そしてしっかりと捏ねた生地を蒸し器で蒸していく。
「後はしっかりと火が入るまで放置だ。その間に果物と、あんこを準備しよう。」
今回使うのは粒あんではなく、こしあんだ。
「まずは果物を一口サイズに切りそろえて、こしあんで包む。」
一つ一つ丁寧に果物をこしあんで包み終えると、ちょうど生地が蒸しあがる。生地を蒸し器の中から取り出すと、真っ白だった生地が半透明に透き通っていた。
「よし、良い感じだ。後は熱いうちに打ち粉をしてひたすら成形する。」
先ほどこしあんで包んだ果物を包めるように生地を切り取って、薄く丸く伸ばして成形していく。そして伸ばした生地で先ほどのこしあんで包んだ果物を覆ってやれば……。
「フルーツ大福完成だ。」
さっそく二人に試食してもらおう。出来上がったフルーツ大福を二人に差し出した。
「明日販売予定のフルーツ大福だ。中身はベリリの実と、オレモの実、それとブドウだ。」
「果物が中に入っているんですね!!」
「あの粉がこんなにもちもちの生地になっちゃうんだ……これは新しい発見だよ。」
見た目に対する二人の反応は上々……あとは味だ。
「それでは早速私は、このベリリの入った大福から頂きましょうか。」
「ウチはオレモのやつ食べよっかな。」
そして二人は大きく口を開けて、フルーツ大福を一口食べた。
「ベリリの甘酸っぱい果汁と、ねっとり甘い……こしあん?でしたよね。これが最高に合いますね。」
「酸味の強いオレモにこの甘さが負けてないし、むしろ二つが口の中で合体してめっちゃ美味しい!!これは間違いなく売れるね。うんうん、間違いないよ。」
食べた後の反応も上々だ。これはさっそく明日商品化してみよう。となれば帰って仕込みを始めないといけないな。
マンドラアイスクリームも新しく作り直さなければならないし、フルーツ大福の仕込みもしなければ……流石にそろそろ仕込みの量が多くなってきたし、だれかお手伝いをしてくれる人を募集してみようか。
多分明日屋台に募集する張り紙を張れば、きっと誰かしらの応募は来る……はず。最悪カリンに頼み込めば、いい人材を見繕ってくれるかもしれない。
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