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第五章

新作スイーツ マンドラアイス

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 一度行列を全てさばき切ると、材料の補充をするために休憩に入った。

「フィースタ、お疲れ様。手伝ってくれてありがとな。」

「い、いえいえ……大丈夫です。」

 そうは言っているものの、彼女もよほど疲れたらしく、肩で息をしている。そんな彼女に、俺は茹でた小豆を使った新作のスイーツを手渡した。

「これ、一応新作なんだが、食べる体力はあるかな?」

「あ、ありますぅっ!!」

 そして彼女は新作のスイーツを受け取ると、その冷たい感触に驚いた。

「冷たい?」

「あぁ、今回の新作は……エルフが日常的に飲んでる、あの苦いお茶と、甘い粒あんを組み合わせたお菓子なんだ。」

 エルフが日常的に飲んでるという、マンドラゴラの新芽のお茶……通称。確かにそのまま飲んだら、めちゃくちゃ苦かった。
 だが、そのお茶の粉を牛乳等とまぜてアイスクリームにすると、これまた美味しいものが出来上がったのだ。さしずめ、抹茶アイスみたいな感じだな。

「これは、粒あんと一緒に食べればいいですか?」

「あぁ。」

 マンドラアイスと、粒あんを一緒にスプーンでフィースタは口に運んだ。すると、パチッと目を見開いた。

「舌の上で……溶けちゃいました。」

「なかなか不思議な食べ物だろ?」

 それをあっという間にフィースタは食べ終えると、温かいマンドラ茶を飲んで、ほっと一息ついた。

「なんという幸せな組み合わせでしょうか……疲れが吹き飛ぶようです。」

 幸せそうな表情を浮かべていた彼女だが、ハッと我に返ると時計を見て、あることを思い出したようだ。

「そ、そうでした……これから会議があるんです。」

「お、それならどら焼きを一緒に持っていってくれ。」

 何人会議に出席するか分からないから、とりあえずたくさんフィースタにどら焼きを手渡した。

「こんなにたくさん……いいんですか?」

「あぁ、全然構わない。それで宣伝してくれ。」

「長老達は頭が硬いですから、上手くいくかわかりませんが……兎に角やってみますね。」

「頼んだ。」

 そしてフィースタを送り出すと、屋台の看板を休憩中から営業中へと裏返した。すると、それを待っていたとばかりにまたしてもエルフ達がつめかけてくる。

「あ、しまった……誘導係がいないから、列が乱れちゃってるな。」

 どうしたものかと考えていると、俺の頭の上に乗っていたハチが飛び立っていく。直後、列がピシッと真っ直ぐに整えられた。

「ふっ、本当になんでもできるんだな。」

 メリッサのハチに感謝しながら、粒あんの在庫が切れるまで、どら焼きを販売し続けた。
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