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第五章
宣伝効果は如何に…
しおりを挟む翌日……朝起きてみると、早速異常に気がついた。
俺がフィースタから借りている部屋は屋敷の2階にあるのだが、ここからでも外の騒ぎが聞こえてくるのだ。
「宣伝成功かな。」
そしてせっせと着替えていると、部屋の扉が勢いよく開いて、フィースタが入ってきた。
「あ、あのっ、外が大変なことになってます!!……って、はわわっ!!お、お着替え中にすみません!!」
「いや、構わない。それじゃあちょっと行ってくるよ。」
身なりを整えてから、屋台のある屋敷の外に向かうと、集まっていたエルフ達の視線が一気に俺に集中した。
「昨日のお菓子買いに来たわよ~!!」
「早く作って~!!」
すでに待ち切れない様子のエルフが、フィースタの屋敷の前に大量に詰めかけていた。
「これは大盛況だな。」
急いで屋台の準備を整えて、どら焼きの皮を焼き始める。すると、列の先頭に昨日宣伝をしてくれた二人のエルフの姿を見つけた。
その二人に屋台で作業をしながら声を掛ける。
「宣伝ありがとう。おかげさまで大盛況みたいだ。」
「人間のお兄さん、お菓子とっても美味しくて、友達たくさん呼んできたよ!!」
「あれだけ美味しいものを独り占めってのも、なんか勿体なかったし……か、感謝しなさいよね。」
「あぁ、本当に助かったよ。」
真っ先に二人にできたてのどら焼きを手渡した。
「二人は今日も無料だ。よかったら明日も食べに来てくれ。」
「やった!!人間のお兄さんありがと~!!」
「ま、まぁ気が向いたら明日も来てあげるわ。……ありがと。」
そして二人がどら焼きを食べながら去っていくが、まだまだエルフが大名行列を作っている。これを全て捌き切るのはなかなか骨が折れそうだ。
一つ気合を入れて、接客に当たる
「いらっしゃいませ、どら焼き1つ銀貨1枚です。」
「このお菓子どら焼きっていうんだ……。何個買ってもいいのかな?」
「大丈夫ですよ。」
「それじゃあ……どら焼き10個!!」
「ありがとうございます。」
せっせとどら焼きを売りさばいている最中、見知った顔が行列の先頭に現れた。
「やあ人間くん、商売繁盛してるみたいだねぇ~。」
「おはようリコ。これもリコが作った小豆が美味しいからだよ。」
「またまたぁ~、キミの腕がいいからでしょ~。」
「そんなことはないさ。それで、何個買っていくんだ?」
「えっと、農場で働いてるみんなにも差し入れしたいから……30個ぐらい?」
「30個だな。ちょっと待っててくれ。」
そして30個に少し色を付けて、どら焼きをリコに手渡した。
「おぉ~、ありがとね~。」
「また今度新作のお菓子作るから、その時は試食頼むな。」
「お任せ~!!それじゃ頑張ってね~。」
リコもドラ焼きをたくさん抱えて去っていく……。しかし、まだまだ行列は途切れる様子はない。行列の整備をしてくれているフィースタも大変そうだ。
行列をさばき切ったら、材料の補充とかも含めて一度休憩を挟もう。
そして更にペースを上げて、俺はどら焼きを売りさばいていくのだった。
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