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第五章

粒あん

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 出来上がった粒あんを冷まして、二人の元へ運んだ。

「コレが粒あんっていうものだ。」

「「粒あん……。」」

 二人とも、あの小さな豆がこんな風に変わってしまった事に驚きながら、興味深そうに粒あんを眺めていた。

「あの硬い豆がこんなに柔らかそうになっちゃって……。」

「これ、真っ黒ですけど食べられるんですか?」

「もちろんだ。本来これは、お菓子に使うんだからな。」

「お菓子に……ですか。」

「まぁまぁ、食べてみれば俺の言葉の意味がわかるよ。」

 そして二人はお互いに顔を見合わせた後、粒あんをスプーンで口に運んだ。すると、二人ともカッと目を見開いた。

「んむっ!?美味しい……。」

「ねっとりと甘くて、優しい味ですね。」

 あっという間に二人は粒あんを食べ終えてしまった。美味しさをわかってもらえた所で俺は、ある提案をリコに出した。

「リコ、もしこの豆を販売するつもりがない……ということなら、俺に預けてみないか?」

「この粒あんを売るの?」

「正確にはこの粒あんを使ったお菓子を売り出そうと思う。もちろん、それで出た利益は全部リコに渡すよ。」

「こっちとしては願ったり叶ったりだけど……そこは国長に許可をもらわないと。」

 フィースタの方に視線を向けると、彼女はにこりと笑って頷いた。

「構いませんよ。」

「本当か!?」

「えぇ、あなた様の作るお菓子には私も興味が湧きましたから。」

「感謝する。」

 それなら早速明日にでも……お菓子を売り出してみよう。最初からお金を取ると取っ付きづらいだろうから、初回無料キャンペーンとかやってみるか。

「それじゃあ、早速販売するお菓子を試作したいんだが……リコ、色々と用意して欲しいものがあるんだが、用意してもらえるかな?」

「良いよ~、ウチで用意できるものならね。」

「それじゃあ今リストにまとめるよ。」

 そして色々と用意してほしい物を紙に書いて彼女に手渡した。

「ひとまずはこんな感じかな。」

 リストを確認したリコは急いで出て行ってしまう。数分すると、大量の袋を携えて戻ってきた。

「一応、あるものは全部持ってきたつもりだけど……。」

「十分だ。ありがとう。」

 後は、提供予定のお菓子を試作して……二人の反応をまた見てみるか。
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