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第五章

様子のおかしいフィースタ

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 フィースタのもとへと歩み寄ると、何やら顔を赤くして、ぼ~っとこちらを見つめていた。

「フィースタ、大丈夫か?」

「へ……あ、すみません。少しぼ~っとしてました。あ、あのお怪我は大丈夫ですか?」

「問題ない。ほらこの通り傷一つなく完治だ。」

 まぁ服は溶けてしまったが……体が溶けるよりかは遥かにマシだ。

「そ、それは良かったです。」

 ……なんだろう、先程から少し彼女の様子がおかしい。頬も赤いし、俺とあまり目を合わせてくれない。

「どうした?どこか、体の調子でも悪いのか?」

「ふぇっ?あ、い、いえいえっ!!そ、そういうことではなく……と、とりあえず私の屋敷に戻りましょう。皆に報告もしなきゃですし。」

「……??そ、そうだな。」

 何やら少し様子がおかしいフィースタと共に、俺は彼女の屋敷へと戻るのだった。





 それから俺は彼女に一つ部屋を貸してもらうことになり、そこで一先ず生活を送ることとなった。

「一先ずなんとか滞在は許可してもらえたな。」

 後は、人間の国に残してきてしまったみんなと、なんとか連絡を取りたいな。

「何かいい方法はないかな。」

 と、みんなと連絡を取る方法を頭の中で模索していると……。突然頭上に魔法陣が現れた。

「ん?」

 その魔法陣から現れたのは、メリッサの配下であるハチだった。

「おぉ!!お前はメリッサの……。」

 そのハチは俺のことを見つけると、ビシッと敬礼した。

「みんなが直接来ることはできないけど、なんとかハチだけは送り込めるってわけか。」

 メリッサならこのハチの言葉がわかるから、伝言を伝えれば……俺の無事を知らせられる。

「じゃあメリッサに伝言を頼めるか?」

 俺は今、エルフの国で厄介になっていること……そしてなんとかエルフが、他の種族にも心を開いてくれるように尽力する……ということをハチに伝えた。

 すると、伝言を聞いたハチは魔法陣の中へと消えていく。

「よしよし、これで大丈夫だ。」

 一安心して、森の香りのする柔らかい枕に頭を預けると、またしても魔法陣が現れ、メリッサの配下のハチが現れた。

「今度はなんだ?」

 そのハチは部屋の中を物色し、紙とペンを見つけ出すと、前足で器用に文字を書き始めた。

「き、器用だな。」

 そして、ハチが書いた文字を読んでみると……。

『メリッサ様から護衛、及び監視を任されました。』

「そういうことか、それは助かるよ。」

 ポンポンとハチの頭を撫でる。これで向こうと連絡も取れるし、後は俺がこの国でエルフの心を開くのみ……だな。
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