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第五章
様子のおかしいフィースタ
しおりを挟むフィースタのもとへと歩み寄ると、何やら顔を赤くして、ぼ~っとこちらを見つめていた。
「フィースタ、大丈夫か?」
「へ……あ、すみません。少しぼ~っとしてました。あ、あのお怪我は大丈夫ですか?」
「問題ない。ほらこの通り傷一つなく完治だ。」
まぁ服は溶けてしまったが……体が溶けるよりかは遥かにマシだ。
「そ、それは良かったです。」
……なんだろう、先程から少し彼女の様子がおかしい。頬も赤いし、俺とあまり目を合わせてくれない。
「どうした?どこか、体の調子でも悪いのか?」
「ふぇっ?あ、い、いえいえっ!!そ、そういうことではなく……と、とりあえず私の屋敷に戻りましょう。皆に報告もしなきゃですし。」
「……??そ、そうだな。」
何やら少し様子がおかしいフィースタと共に、俺は彼女の屋敷へと戻るのだった。
◇
それから俺は彼女に一つ部屋を貸してもらうことになり、そこで一先ず生活を送ることとなった。
「一先ずなんとか滞在は許可してもらえたな。」
後は、人間の国に残してきてしまったみんなと、なんとか連絡を取りたいな。
「何かいい方法はないかな。」
と、みんなと連絡を取る方法を頭の中で模索していると……。突然頭上に魔法陣が現れた。
「ん?」
その魔法陣から現れたのは、メリッサの配下であるハチだった。
「おぉ!!お前はメリッサの……。」
そのハチは俺のことを見つけると、ビシッと敬礼した。
「みんなが直接来ることはできないけど、なんとかハチだけは送り込めるってわけか。」
メリッサならこのハチの言葉がわかるから、伝言を伝えれば……俺の無事を知らせられる。
「じゃあメリッサに伝言を頼めるか?」
俺は今、エルフの国で厄介になっていること……そしてなんとかエルフが、他の種族にも心を開いてくれるように尽力する……ということをハチに伝えた。
すると、伝言を聞いたハチは魔法陣の中へと消えていく。
「よしよし、これで大丈夫だ。」
一安心して、森の香りのする柔らかい枕に頭を預けると、またしても魔法陣が現れ、メリッサの配下のハチが現れた。
「今度はなんだ?」
そのハチは部屋の中を物色し、紙とペンを見つけ出すと、前足で器用に文字を書き始めた。
「き、器用だな。」
そして、ハチが書いた文字を読んでみると……。
『メリッサ様から護衛、及び監視を任されました。』
「そういうことか、それは助かるよ。」
ポンポンとハチの頭を撫でる。これで向こうと連絡も取れるし、後は俺がこの国でエルフの心を開くのみ……だな。
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