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第五章

エルフの信用を得るために

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 そしてフィースタと共に、魔物がいるという泉へ歩いていく。

「護衛はいらないのか?」

 護衛一人つけず、俺の前を歩くフィースタに問いかける。

「あなたには、私たちに対する敵意がありませんから。問題ないと判断したまでです。」

「俺がやられたらどうするんだ?」

「その際は私一人で魔法で逃げますから、ご心配なく。」

 そんなことを話している間にも、目先に小さな泉が見えてきた。

「ここが例の魔物の住処です。見たところいないようですが……。」

 確かに泉の周辺にはいないようだ……だが、ねっとりと纏わりつくような不気味な気配を、あの泉の中から感じる。

「フィースタ、下がってくれ。」

「え?」

 そう言った直後、泉から虎型の魔物が飛び出して、前にいたフィースタへと襲いかかってくる。

「ちょっと失礼。」

「きゃあッ!?」

 とっさに反応できなかったフィースタの手を、ぐっと引き、無理矢理下がらせると、魔物の標的が俺へと変わった。

「お前の相手は俺だ。」

 剣や弓による攻撃……つまり、物理攻撃は効かないって言ってたが、果たして本当なのか試させてもらおう。

 こちらに迫る凶悪な爪の攻撃を躱して、一気に懐を取ると、魔物の顔面に全力の拳を叩き込んだ。

「ん?」

 モロにヒットしたは良いものの、手に伝わってきた感覚に違和感を覚えた。

 肉を打っている感じじゃない……まるで水を打っているような……。

 疑問に思っていると、さっきの一撃で大きく吹き飛んだ魔物が体勢を立て直して、こちらを睨みつけている。

「確かに物理攻撃は効かないみたいだ。それなら……こいつはどうかな?」

 俺は全身にサンダーブレスを纏わせる。

「今度はこっちから行くぞ。」

 地面を蹴り、一気に魔物へと距離を詰めていく。すると、魔物の体が波打つように蠢いた。その次の瞬間……ヤツの全身から超高圧の水が放たれたのだ。

「っ!!」

 変幻自在に軌道を変えて、俺へと向かってくるそれをバックステップで躱す。放たれた水が地面に着弾すると、ジュワジュワ音を立てて地面が溶けていく。

「酸か、またどっかで見たような攻撃だな。」

 この攻撃は以前戦ったアシッドスライムを思い出す。当たった時のことを思うと、ゾッとせずにはいられない。

 酸による攻撃を全て躱すと、魔物に異変が起こる。

「なんだ?体が膨張して……。」

 魔物の体がボコボコと音を立てて、歪に膨らんでいく。

「まさかっ!?」

 俺は草むらに隠れて様子を伺っているフィースタへと向かって走る。

「な、なに?どうしたんですか?」

「そこでじっとしてろよ。」

 体を龍化させて背中から翼を生やすと、俺はフィースタに覆いかぶさる。

 その次の瞬間……魔物が大爆発した。
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