転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第五章

ヴェールの果物でお菓子作り

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 たくさんの果物や野菜を買った後、ヴェールの近くでハウスキットを展開すると、フレイとともに厨房に立った。

「さて、それじゃあ早速作っていこうか。」

「今日は何を作るの?」

「今日は買った果物をふんだんに使った、フルーツタルトを作ろう。」

 今回作るお菓子を発表すると……。

「あ!!それボク、メリッサちゃんと一緒に本で見たよ!!」

「なら作り方はわかるか?」

「い、一応……。」

「ま、今日は俺も一緒に作るから……フレイは作り方を覚えながら、手伝ってくれ。」

「うん、わかったよ。」

「よし、それじゃあ早速タルト生地から作るぞ……と言いたいところだが。」

 実はタルト生地は、事前に仕込んだ物がある。いつでもタルトを作れるように……と、ケーキを作るときに一緒に仕込んでいたのだ。

「タルト生地はこれを使う。」

「え、もう作ってあったの?」

「あぁ、いつでもタルトを作れるように、あらかじめ仕込んでおいた。作り方はここに書いておいたぞ。」

 こちらの世界の言葉で書いた、タルト生地のレシピをフレイに手渡した。

「わっ!!ありがと~!!」

「その通りに作れば、失敗はしないはずだ。」

 タルト生地は出来ているので、ここに敷き詰めるカスタードクリームを作ろう。

「それじゃあフレイ、ここに書いてある分量を測ってくれないか?」

「任せてよ~!!」

 そうお願いすると、フレイは手早くメモに書いてある分量を測っていった。

「全部測り終わったよ、ヒイラギさん。」

「よし、それじゃあその材料を一つずつ鍋に入れて、しっかりと混ぜるんだ。」

 そしてフレイは鍋に砂糖と卵黄……そして小麦粉を入れてしっかりと混ぜていく。

「んしょ……よいしょ、こんな感じでいいかな?」

「あぁ大丈夫。それじゃ、次に牛乳を入れてくぞ。ここからはダマができないように、手早くしっかりと混ぜてくれ。」

 ゆっくりと、温めた牛乳を鍋の中に注ぎ入れていくと、小麦粉と牛乳が混ざり合い、トロリとした液体になった。

「よし、それじゃ交代しよう。」

 フレイからゴムベラと泡だて器を受け取り、その液体を火にかけていく。

「フレイ、よく見てるんだぞ?」

「う、うん。」

 ゆっくりと温度を上げていき、沸騰直前で火を一気に落とす。ここにバターを加え、ひたすらに混ぜる。
 すると、液体がどんどんもったりとしたクリーム状になっていく。

「あとは、これをバットに広げて氷でしっかりと冷ます。」

 一通りの工程を終えると、フレイが出来上がったものを指さして、質問を投げかけてくる。

「ヒイラギさん、これは何?」

「これはカスタードクリームだ。」

「あ、それも本で何回も出てきてた。」

「そう、お菓子作りにおいて色々なお菓子に使われる基本のクリームだ。」

「こうやって作るんだね~。なるほどなるほど……。」

 自分のノートにフレイは次々にメモを取っていく。

「まだ冷えてないけど、味見してみるか?」

「え、いいの?」

「これも作る人の特権だ。」

 スプーンで少しカスタードクリームを掬うと、フレイに差し出した。

「ほら、口開けて。」

「あ、あぅ……あ~。」

 少し恥ずかしそうにしながらも、フレイはカスタードクリームを食べる。すると、表情を綻ばせながら一言ポツリと感想を口にした。

「甘くて美味しい……。それに凄く滑らかで、濃厚だよ。」

「それがカスタードクリームのお手本だ。自分で作るときは、これを目指して作ってみるんだぞ?」

「うん、頑張るよ!!」

 さて、カスタードクリームを冷やしている間に、盛り付けるフルーツを切り分けよう。
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