転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第五章

温泉の街ホスプ

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 温泉街ホスプへ向かって、グレイスに飛んでもらうこと1時間弱……突然空気の匂いが変化した。

「ん?この匂いは……硫黄の匂いだ。」

 温泉街特有のこの匂いがしてきたということは……そろそろホスプが近い。

「グレイス、下に街は見えないか?」

「もうちょっと先にそれっぽいのが見えるっすね。」

「よし、それじゃあ近くに着陸してくれ。」

「了解っす!!」

 そして、人気のない街道からそれた場所に着陸してもらうと、バッグの中で待機していたみんなに声を掛ける。

「みんな着いたぞ~。」

「着いた!?」

 声を掛けると、真っ先にシアが飛び出してきた。それに続いてみんなも続々とバッグから出てくる。

「んしょ…ついた!」

「ん~、この景色懐かしいねぇ。冒険者時代、何回か来たんだよ。」

 ドーナは以前にもここに来たことがあるらしく、景色を見て懐かしんでいた。

「ここの温泉は、火山性温泉なんだな。」

 周りを見ると、すぐ近くに火山がある。硫黄の匂いが強いのも火山性温泉故の理由だろう。

「ねぇ、早くいきましょ?ワタシ、すぐにでも温泉に浸かりたい気分なのよ~。」

「シアも温泉入りた~い!!」

「ぱぱ…はやく…いこ!」

「あぁ、そうだな。」

 そしていざ、街の中へと足を踏み入れると、街の至るところから蒸気が上がっていた。

「な、なんかすごい場所ね……。」

「あちこちから湯気が出てる。熱そ~。」

 普通の街ではまず目にすることはできない光景に、リリンとフレイは驚いていた。

「お?なんじゃこれは……。」

 レイが見つけたのは、蒸気の噴出孔に設置された竹編みの籠のようなもの。俺は、それに見覚えがあった。

「もしかして……これはか?」

 不穏なワードにレイがビクリと反応する。

「じ、地獄とな!?」

「レイが思ってるほど不穏なものじゃないぞ。」

 チラリと横に立てかけてあった看板を見てみると、そこにはこれの使い方が書いてあった。

「ふむ……やっぱりな。」

「主よ、これはなんなのじゃ?」

「これは、この熱い蒸気を使って蒸し料理をする、専用の設備だな。」

 食べ物の話題が出ると、すぐにグレイスが反応した。

「これで料理できるっす!?」

「あぁ、試しに野菜とか卵とか入れてみようか。」

 竹編みの籠に卵と野菜をいくつか入れて、蒸気の上に置いた。

「これで10分ぐらい待てば、美味しく出来上がってるはずだ。その間にこのあたりのお店を見て回ろう。」

 そして温泉の蒸気で蒸し上がるまでの間、温泉街のお土産屋等を見て回るのだった。
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