737 / 1,052
第五章
ヒイラギの料理教室
しおりを挟むミクモと別れた後、俺は王宮に足を運んでいた。
「お待ちしておりました、ヒイラギ様。」
王宮の中へと入ると、すぐにメイドのレイラが出迎えてくれた。
「今日はよろしくお願いいたします。」
「あぁ、頑張って教えるよ。」
そして彼女に案内されて、俺は王宮の中にある調理場へと足を運ぶ。するとそこには、何人かのメイドさんがすでに待機していた。
今日俺がここに足を運んだ理由……それはシンの口に合う料理を、この王宮で働いているメイドさんに教えるためだ。
「「「本日はよろしくお願いいたします。」」」
「あぁ、よろしく頼む。」
こちらにお辞儀してくれたメイドさんたちにお辞儀を返してから、俺は一人一人に自作してきた本を渡していく。
「みんな行き渡ったな。それじゃあ、まずはこの本に書いてある内容から少し説明しよう。」
料理の教習に入る前に、まずは手渡した本の内容を説明する。
「この本には、シンが好きな料理と、好んで食べてくれると思われる肉を使った料理の作り方が記載されてる。基本的にここに記載されている作り方、分量通りに作れば美味しいものが作れるはずだ。」
メイドさんたちは本をぺらぺらとめくりながら、何度も頷いていた。
「ただ、料理には文章じゃあ説明できない技術ってものがある。それを今日、少しでもわかってくれれば嬉しい。」
本についての説明をしたところで、さっそく今日教える料理に使う食材を配っていく。
「今日教えるのは肉料理の基本中の基本……ステーキだ。ステーキはただ肉を焼いたもの…と思われがちではあるが、焼き方によって味が変わる。繊細な料理だ。その本の最初に書いてある通り、主に焼き加減は、レア、ミディアム、ウェルダンと三種類ある。」
ステーキ用に切り分けた肉に塩と胡椒を振って、一つずつ違う焼き加減で焼いて、メイドさん達に見せた。
「まずはこれ、ウェルダンだ。これは肉の中心部分までしっかりと火が入っている状態。生食できないような肉を焼く際に使う加熱方法だな。一番安全に肉を食べられる方法だが、肉のジューシーさは失われてしまう。」
メイドさん達は俺の説明をメモしながら、肉をよく観察している。
「次にミディアム。これは中心がほんのりと赤い状態。見てわかる通り、切ると肉汁が溢れ出してくるぐらいジューシーだな。このぐらいが一番ステーキらしい焼き加減で、美味しく食べられる。」
ただミディアムは、このほんのり中心が赤い状態でもしっかりと中には火が入っている状態だ。俺はこのぐらいの焼き加減が一番好きだな。
「で、最後にレア……これは表面を超高温でさっと焼いただけの状態だ。切ってみると中はほぼ生の状態だな。この焼き方は、生食できる肉じゃないとやっちゃダメだ。」
一通り焼き方を説明した後、今度は彼女たちに実際に三種類の焼き加減で肉を焼いてもらった。王宮のメイドに選出されるだけあって、みんな覚えが早く、あっという間に三種類の肉の焼き方をマスターしてしまった。
この分だと、あっという間に本に記載した他の料理もマスターしてしまうだろうな。シンの食事事情もすぐに解決を迎えそうだ。
3
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説

異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL

女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
土岡太郎
ファンタジー
自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。
死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。
*10/17 第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。
*R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。
あと少しパロディもあります。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。
良ければ、視聴してみてください。
【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
https://youtu.be/cWCv2HSzbgU
それに伴って、プロローグから修正をはじめました。
ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる