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第四章
国王と対面
しおりを挟む薄明りに照らされた城の中へと続く隠し通路を進んでいると、奥のほうに上へと登る石造りの階段が見えた。エートリヒがこの通路は一本道と言っていたから、恐らくあそこが城の中へと入ることのできる入り口なのだろう。
その階段を登り、登った先に現れた木製の古い扉を開けた。
「ゲホッ……埃が凄いな。」
扉を開けると長年降り積もった埃が舞い上がる。咳き込みながら前に進むと、そこは……。
「ここは、書庫か?」
目の前にはズラリと大きな棚が並んでおり、その棚にはぎっしりと大量の本が所狭しと並べられている。
「あぁ間違いない、ここは王城の中にある書庫だ。」
「まさかこんなとこに隠し通路があったなんて知らなかったぜ。」
「ここが書庫ならば、玉座の間まではすぐにたどり着けるはず、早く向かわなければ。」
ここから玉座の間へと移動しようとしたとき、聞き慣れない声が書庫に響いた。
「その必要はない。」
声が聞こえた方を振り向くと、きらびやかな王冠を被った初老の男性がカツンカツン…と足音をたててこちらへと歩いてきていた。その姿を見て確信する。
この人が国王だ。最大限に警戒をしつつ、国王に目を向けているとバイルが口を開いた。
「陛下、オレ達が何でここにいるのかは、わかっておられますな?」
「バイル、やはり貴様は洗脳が甘かったか。だが、ダグラスにカムジンはきっちりと落ちていたはずなのだが……大方そこの者に正気に戻されたのか。」
ニヤリと笑い国王はこちらを見てくる。
「それに、ずいぶんと因縁のある者までいるではないか。この隠し通路を教えたのも貴様だろう?エートリヒ。」
くつくつと笑う国王をエートリヒは静かに睨み付ける。その瞳には憎しみが宿っている
「エートリヒ?」
バイルが聞き慣れない名前に首をかしげる。
「なんだまだ話してないのか。では教えてやろう、そこのオーナルフという者の真名はアドルフ・エートリヒ。100年前謀反を起こされた、忌まわしき国王の末裔だ。」
皆の視線が降り注ぐなか、エートリヒは静かに怒りを込めて口を開いた。
「忌まわしき国王……だと?貴様がそれを言うか?洗脳という卑劣な手段で、国王の座を手に入れた貴様がっ!!」
「この世界は力のあるものが上に立つ。貴様の先祖はその力が無かっただけのこと。……さて、無駄話はこの辺にしておこう。邪魔者には消えてもらわねばならんからな。」
パチン……と国王が指をならすと、地鳴りとともに何かがこちらに近づいてくるのを感じる。とても強い気配だ。どうやら国王はここで俺達を始末するつもりらしい。
バイル達を下がらせ、地鳴りのする方を見つめ集中力を高めるのだった。
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