転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

文字の大きさ
上 下
721 / 1,052
第四章

隠し通路

しおりを挟む

 王都についたので、マジックバッグからバイル達に出てきてもらった。

「まさか本当に昼前に王都についちまうとはな……。」

「バイル殿、驚いている場合ではありませんよ?これから早急に王城へ向かわないといけないのですから。」

「だが、しかし……どうやって見つからずに城まで行く?辺りには兵士達や住民もいるんだぞ?」

 ダグラスが気がついた問題点に、バイルとカムジンは少し顔をうつむかせ考える。
 だが、その問題は実はもう解決してあるのだ。ある人物がな。

「それに関しては私がいますので大丈夫ですよ。」

 皆が押し黙るなか、エートリヒが一人言った。

「オーナルフ卿、何か妙案でもあるのか?」

「もちろん、私は王城の隠し通路を知っていますから。」

「「「なんだと!?」」」

 そうエートリヒは真の王族の末裔だ。この城に関することは何でも知っているそうで、王族に代々伝わる秘密の隠し通路のことも、ちゃんと知っているらしいのだ。

「な、なぜお前がそんな事を知っているんだ!!」

「その話は後ですよ。一先ず今は私に着いてきてください。」

 訳がわからず混乱しているバイル達を背に、一人先頭にたってエートリヒは歩きだした。バイル達がエートリヒが真の王族の末裔ということを知ったら、どういう反応をするだろうか……少し面白そうだな。

 と、そんな事を思っていると……。

「ヒイラギ、あなたは行かないの?」

「ん?あぁ今行くとこだった。」

 リリンに声をかけられなければ、エートリヒ達を見失うところだった。置いてきぼりは御免だ。

 彼女とともに、少し駆け足でエートリヒ達に合流しに向かった。

 そして、エートリヒに連れてこられたのは、とある無人の家の中だった。

「ここの本を動かせば……。」

 エートリヒが本棚の本を一冊引き抜こうとすると、カチリと音がして、本棚が横に自動で動き、その裏に暗い通路が現れた。

「ここからは一本道だ、後は貴公に任せるよ。」

 ポン……と俺の肩に手を置いて、エートリヒは後列の方へと行った。

「リリン、後ろは頼んだぞ。」

「言われなくてもわかってるわ。」

 そしてリリンもエートリヒの後を追い、後列へと下がった。それを確認して、皆より一足先にその通路へと入る。

「自動で松明に火が……助かるな。」

 通路に入ると松明に突然火が灯り、道を明るく照らした。この分なら奇襲を受けることもなさそうだ。多少安心して進めるが、油断はしないでおこう。
 そして、薄明かりに照らされた通路を、気を引き締めながら前に進むのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

異世界にアバターで転移?させられましたが私は異世界を満喫します

そう
ファンタジー
ナノハは気がつくとファーナシスタというゲームのアバターで森の中にいた。 そこからナノハの自由気ままな冒険が始まる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた

甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。 降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。 森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。 その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。 協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

処理中です...