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第四章
隠し通路
しおりを挟む王都についたので、マジックバッグからバイル達に出てきてもらった。
「まさか本当に昼前に王都についちまうとはな……。」
「バイル殿、驚いている場合ではありませんよ?これから早急に王城へ向かわないといけないのですから。」
「だが、しかし……どうやって見つからずに城まで行く?辺りには兵士達や住民もいるんだぞ?」
ダグラスが気がついた問題点に、バイルとカムジンは少し顔をうつむかせ考える。
だが、その問題は実はもう解決してあるのだ。ある人物がな。
「それに関しては私がいますので大丈夫ですよ。」
皆が押し黙るなか、エートリヒが一人言った。
「オーナルフ卿、何か妙案でもあるのか?」
「もちろん、私は王城の隠し通路を知っていますから。」
「「「なんだと!?」」」
そうエートリヒは真の王族の末裔だ。この城に関することは何でも知っているそうで、王族に代々伝わる秘密の隠し通路のことも、ちゃんと知っているらしいのだ。
「な、なぜお前がそんな事を知っているんだ!!」
「その話は後ですよ。一先ず今は私に着いてきてください。」
訳がわからず混乱しているバイル達を背に、一人先頭にたってエートリヒは歩きだした。バイル達がエートリヒが真の王族の末裔ということを知ったら、どういう反応をするだろうか……少し面白そうだな。
と、そんな事を思っていると……。
「ヒイラギ、あなたは行かないの?」
「ん?あぁ今行くとこだった。」
リリンに声をかけられなければ、エートリヒ達を見失うところだった。置いてきぼりは御免だ。
彼女とともに、少し駆け足でエートリヒ達に合流しに向かった。
そして、エートリヒに連れてこられたのは、とある無人の家の中だった。
「ここの本を動かせば……。」
エートリヒが本棚の本を一冊引き抜こうとすると、カチリと音がして、本棚が横に自動で動き、その裏に暗い通路が現れた。
「ここからは一本道だ、後は貴公に任せるよ。」
ポン……と俺の肩に手を置いて、エートリヒは後列の方へと行った。
「リリン、後ろは頼んだぞ。」
「言われなくてもわかってるわ。」
そしてリリンもエートリヒの後を追い、後列へと下がった。それを確認して、皆より一足先にその通路へと入る。
「自動で松明に火が……助かるな。」
通路に入ると松明に突然火が灯り、道を明るく照らした。この分なら奇襲を受けることもなさそうだ。多少安心して進めるが、油断はしないでおこう。
そして、薄明かりに照らされた通路を、気を引き締めながら前に進むのだった。
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