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第四章

忘れていたもの

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 バイル達と王都の攻略についての話し合いをしていると、シアがおずおずとした様子でこちらに歩いてきた。

「あ、お兄さん……。」

「ん?シア、どうかしたか?」

「お腹空いちゃったの。」

 申し訳なさそうに、シアは自身のお腹をおさえてそう言った。

 しまったぁ~!!襲撃があったせいで、完全に夕食のことを忘れていた。取りあえず話し合いも一段落ついたし、この辺でご飯にしとかないとシア達がかわいそうだ。

「ごめんなシア、今すぐ作るからもう少しだけ待てるか?」

「うん!!」

「いい子だ。」

 ポンポンとシアの頭を撫でて、俺はバイル達に向き合った。

「一先ず王都攻略については一段落したことですし……そろそろご飯にしたいんですが。」

「あぁ、賛成だ。少し頭も切り替えたいと思っていたしな。カムジンもダグラスもそれでいいな?」

「構いません。」

「構わない、私自身少し気持ちを切り替えたい。」

 バイル達の了承も得ることができたから、早速夕飯を作るとしよう。

「ではここで少し待っていてもらえますか?すぐに作ってきます。シンの通訳は、このグレイスがやってくれるので、遠慮せず話しかけてくださいね?聞きたいこともたくさんあると思うので……。」

 そしてグレイスに通訳を任せた後、コックコートに着替えて厨房へと向かった。すると、炊飯器がちょうどご飯の炊き上がりを知らせてくれた。

 どうやらシアかメリッサのどちらかが、炊いていてくれたようだ。ご飯の量も多く炊いてくれている。これだけあれば全員分を賄えるだろう。

「本当にいい子達だな。助かった。」

 さて、今日は何を作ろうか……と、いつも通り悩みたいところだが、シア達が本当にお腹が減っていそうだから、なるだけ手軽に早く作れるものにしたいな。
となれば‥

「やっぱり丼ものかな。」

 手早く、美味しく……お腹にも溜まるものといえば、丼ものが一番最適だろう。

「それなら、今日はサラマンダーの肉を使って、ステーキ丼にしてみるか。」

 美味しいものを食べ慣れているであろう、バイル達を唸らせるには、サラマンダーの肉が一番適任だ。

 肉の味を楽しんでもらいたいから、軽く塩とブラックペッパーで味付けして、バターが香るソースをかけて食べてもらうことにしようか。
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