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第四章
襲来……ビーストライダー
しおりを挟むハウスキットを展開し、みんなに中に入ってもらっている最中……頭の上に乗っかっていたハチがペシペシと前足で頭を叩いてくる。
「ん?なんだ、どうしたんだ?」
すると、正面をビシッと指さしたのだ。
「行けってことか?」
答えは返ってこないが、どうやらそういうことらしい。
「みんな、先に休んでてくれ。少し歩いてくる。」
指し示された方向へと歩みを進めていると、突然唸り声のようなものが聞こえた。
直後、眼の前の暗闇に赤く光る二つの眼光を持った大きな魔物と、月明かりに照らされて銀色に鈍く輝く鎧を身に纏った騎士が現れたのだ。
「何者だ?」
「…………。」
騎士はこちらの問いかけに答える様子はない。だが、恐らくは国王の命令で俺を殺しに来た輩だろう。
警戒を解かずに騎士と魔物の様子を伺っていると、あろうことか騎士が魔物の上に跨がって剣を抜いた。
「なるほどそういうタイプか。」
さしずめビーストライダーと言ったところか?って、そんなことを考えてる暇は無さそうだ。
「グウゥゥオォォォッ!!」
ビリビリと、大気を揺るがすような咆哮を上げた魔物は、騎士を背中に乗せたまま、こちらへ一直線に走ってきた。そして剣が届く間合いに入った瞬間……魔物の上に跨がる騎士が剣を振り下ろす。
「死ねッ!!」
振り下ろされた剣を、体を捩って避ける。騎士と魔獣は勢いを殺さずに切り返し、更に追撃を加えようと迫ってくる。
「火炎ブレスを吐け。」
そう騎士が魔物に命令すると、騎乗されている魔物は、大きく口を開けてブレスの構えをとる。
「それは何度も……嫌という程見た。」
今度はこちらが一気に距離を詰め、ブレスを溜めていた魔物の顎を蹴りあげた。本家ドラゴンのブレスじゃないから、そんなに威力は高くないと思うが……この辺りには木が生えているからな、避けて火事になったら大変だ。
そして吐き出す直前でブレスは暴発し、魔物の口内を焼いた。苦しそうな呻き声を上げて、動きがピタリと止まる。
「終わりだ。」
雷を纏わせた手刀で魔物の首を切り落とした。首を切り落とされた魔物は、力なく地面に倒れ込む。
「チィッ!!」
跨がるものが死んだことにより、騎士は舌打ちをしながら魔物の上から飛び降りた。
「陛下に仇なす大罪人めッ……!!」
甲冑の下からギリリと歯を食い縛る音が、ここまで聞こえてくる。騎士と向かい合っていると、その後ろからバイル達がこちらに歩いてくるのが見えた。
「んあ?ありゃあ……ヒイラギじゃねぇか?」
「何者かと戦っているようですね。」
「皆様方、お下がり下さい危険です。ルシア、セレナ、バイル様達を守るぞ。」
バイル達を守るようにルーカス達が前に出る。その様子を騎士が見て言った。
「大罪人がわらわらと……皆殺しにしてくれるッ!!先ずは貴様からだッ!!」
キッ…と俺を睨み付け、騎士は剣を構えて突撃してきた。だが、鎧が体の動きを阻害しているため、とても遅く見える。
「ちょっと苦しいぞ、我慢しろよ?」
向かってきた騎士の鎧の、首の部分の隙間に人差し指を差し込んだ。そして気管を圧迫する。
「く……かはっ……。」
息ができなくなった騎士は、少しするとその場に崩れ落ちた。さて、この人からはいろいろ聞かせてもらおうか。
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