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第四章

ブラックファッティの中落ち

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 ブラックファットを大まかに解体し終えた後、みんなに楽しんでもらうために、一人一人にスプーンとお皿を手渡した。

「ヒイラギさん、これどうするの?」

 突然渡されたスプーンとお皿に戸惑うフレイ達だったが、その中でシアとメリッサの二人だけが気がついた。

「あっ!!シアわかった!!」

「わたしも…わかった。」

「二人は前に一度食べてるもんな。さて、それじゃあ、今から皆にはこの中骨に残っている身を、そのスプーンでこそぎおとしてもらう。」

 今から皆にやってもらうことを伝えると、グレイスがある質問をしてくる。

「その取ったやつは食べてもいいっすか?」

「あぁ、もちろんだ。醤油はそこにあるから好きなだけ食べるといい。ただし、量に限りがあるから喧嘩はしないようにな?」

「やったっす~!!」

「多分大丈夫だとは思うけど、一応最初に一回やって見せるからな。」

 スプーンで中骨についていた身を、少しこそげおとして皿にのせる。そして醤油をつけて口に運んだ。

「うん!!これは美味しい。口の中で溶けていく脂が甘くて、身の方もうま味が強い。中落ちでこれなら……大トロはヤバそうだな。」

「ひ、ヒイラギっ!!早くワタシも食べたいわ!!」

 俺が美味しそうに食べているところをみて、我慢できなさそうにランが言った。

「うん、じゃあ今みたいな感じでスプーンでとって食べてみてくれ。」

 そう皆に促すと、皆は待っていましたとばかりにスプーンを持って中落ちに飛び付いた。そして見よう見まねでスプーンで身をこそげおとし、醤油につけて食べ始めた。

「ん~~~っ!!美味しいっ!!このお魚っ今までで一番美味しいっ!!」

 シアは今にもほっぺたが落ちそうになっている。
まぁ確かに今まで食べた魚の中では一番美味しいだろうな。値段も値段だったから……。
 美味しく食べている皆のことを眺めていると、シンが俺に話しかけてきた。

「ヒイラギよ……。」

「ん?どうした?」

「この魚、まるで極上の肉のような美味さだ。この骨についた身でさえこれほど美味いということは……。」

「あぁ、もちろんこっちの身はもっと美味しいぞ?」

 先程下ろした身を指差して言うと、シンはニヤリと笑った。

「今日の夕飯が待ち遠しいな。」

「任せとけ、最高に贅沢な料理を作る。」

 実はもう何を作るかは決めてあるんだ。まだこっちに来て作ったことがないやつだから、皆がどんな反応をするのか楽しみだな。
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