転生料理人の異世界探求記（旧 転生料理人の異世界グルメ旅）

第四章

マトマとベーコンのペペロンチーノ

　昼食を作るため、いつものようにロッカールームでコックコートに着替えて厨房に入った。

「さて……今日は何を作ろうかな。」

　みんなの行動を振り返って、みんなの体が今何を欲しているのかを考える。

「ん～、ドーナとランの二人は釣りに行ってたんだよな。ってことは、少し汗をかいてるかな。」

　さっきまでドーナ達は釣りをして楽しんでいたようだ。多少なりとも汗はかいただろう。それなら、塩を味付けのベースにした料理を作れば、より美味しく感じてくれるかな。

「確か、マトマの実買ってきたよな。」

　塩を味つけのベースに使う料理に決まったのはいいが、それだけだと今のリリン達が求めているものとは少し違うかもしれない。それを補うためにマトマを使おう。
　マトマの甘味、そして酸味が味に複雑さをつけてくれるから、塩を味つけのをベースにしていても、シンプルすぎるものにはならない。要は飽きにくい料理にする。

「ベーコンもあるし、今日はマトマとベーコンのペペロンチーノにしよう。」

　作る料理が決まったところで、早速調理に取りかかる。まずは野菜と、ベーコンを切るところからだ。

「使うのは玉ねぎと鷹の爪、ニンニク、マトマ、ベーコンだな。」

　玉ねぎは少し厚くスライスしておく、だいたいパスタの麺の太さと同じぐらいの厚さがちょうどいい。

　鷹の爪は輪切り、ニンニクはみじん切りにする。そしてマトマは、てっぺんに十字に切れ込みをいれて熱湯で湯剥きしてから一口サイズに切っていく。

　ベーコンは薄くスライスしてあるやつを、適度な幅に切り揃えるだけだ。

「これでよし、次はパスタを茹でよう。」

　パスタを茹でている間に、今回のペペロンチーノの要であるソースを作っていく。

　まずはパスタ用の鍋に、オリーブオイルとみじん切りにしたニンニク、そして鷹の爪を入れて弱火で加熱し、じっくりとオリーブオイルに香りを移す。

「そしたら玉ねぎとベーコンを炒めて、マトマを入れる。」

　マトマは玉ねぎが透明になり、ベーコンに軽く焼き色がつきはじめたら入れごろだ。そしてマトマを入れて少し炒めたら、少しお湯を加え、塩とブラックペッパーで味付けする。

「よし、パスタもそろそろ茹で上がりだな。」

　茹で上がったパスタをソースの中に入れて、素早く鍋を振る。ペペロンチーノはこの動作が一番大事だ。

　乳化といって水とオリーブオイルを一体化させ、パスタに絡めるのだ。成功すると、先程作ったサラサラの状態のソースが、少しねっとりとしてパスタに絡む。そうなったら完成だ。

「味もよし、盛り付けだ。」

　ペペロンチーノを高く盛り付け、上から乾燥した刻みパセリを振りかけてあげれば、色味もバッチリだ。

　そして出来上がった料理とフォークを持って、皆のもとへと向かった。