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第四章
ブラックファッティ
しおりを挟む店の扉を開けて中へと入ると、ひんやりとした空気が肌に触れた。室内は少し寒いぐらいの温度に保たれているらしい。
ルビーブリムとブラックファッティは、デリケートな魚なのだろうか?と、そんなことを思っていると、奥から一人の初老の男性がこちらに歩いてきた。
「いらっしゃいませ、本日は何をお探しですか?」
「ルビーブリムとブラックファッティを見せてほしい。」
「かしこまりました。それではこちらへどうぞ。まずは、ブラックファッティの方からお見せいたします。」
その店員に着いていき、店の中の扉を一つくぐると……目の前にずらりと巨大で真っ黒な魚が並んでいた。
「こちらが今朝獲れたばかりのブラックファッティでございます。」
「うん……見た目は完全にクロマグロだな。」
ブラックファッティの見た目は、完全にクロマグロと一致していた。
「だいたい一本あたり100kg~200kgほどのものを当店では取り揃えております。また、本日のキロ単価は金貨5枚となっております。」
キロ単価が金貨5枚……100kgで白金貨5枚か。かなりお高い魚のようだ。だが、今の俺の財布には……このブラックファッティを何匹も買えるぐらい、白金貨が入っている。
「ちなみに今日揚がったやつで、一番大きいのはどれだ?」
「それでしたら、あちらのブラックファッティでございますね。あれは一本で300kgの大物ですよ。」
「ふむ、そうか。ならあれを一本、丸でもらおう。」
マグロの解体……一度やってみたかったんだよな。皆の前でやったらどんな反応をするかな?少しワクワクしていると……。
「失礼ですがお客様、本日持ち合わせはございますでしょうか?」
「あぁ、もちろんだ。これでいいだろ?」
バッグから白金貨を15枚取り出して店員に手渡した。
「あ、は、はいっ。確かに受け取りました。」
「あれもうしまってもいいか?」
「え、えぇ構いませんが……どうやってお持ち帰りになるのですか?」
首をかしげる店員の前で、マジックバッグの中に300kgのブラックファッティをしまった。
「マジックバッグでございますか。しかも大容量の……。」
「あぁ、これ本当に便利なんだ。」
隣の女神様に本当に感謝だな。ちらりとイリスのことを見ると、彼女はこちらに満面の笑みを向けた。
「ふふっ♪喜んでいただけて何よりですっ。」
「感謝してるよ。ありがとな。」
そしてブラックファッティを購入した後、イリスと共に今度は、ルビーブリムが保存してあるという部屋へと案内された。
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