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第四章
イリスとデート?
しおりを挟む朝食を食べ終えた後、俺はイリスとともにエートリヒの屋敷へと向かっていた。
「ふふっ♪思えば二人だけでお出掛けなんて初めてですねっ。」
隣で歩くイリスがこちらを向いてクスリと笑う。
ちなみに、今日一緒に来なかった面々がなにをしているのかと言うと……。
ドーナとランとシアは釣りに行ってしまった。フレイはメリッサの手を借りて、お菓子の本を読み漁っている。そしてクリドラは、何やら用事があると言って、朝食を食べ終えた後、どこかへと行ってしまった。
「そうだな。今思えばイリスと二人で出掛けるのは初めてだな。」
「ふっふっふ~、これぞ正にデートですね!!」
「まぁ、そうなる……のか?」
女性と二人で出掛けることをデートと呼ぶのなら、これもデートなのだろう。まぁイリスが楽しそうにしてるから、デートでも何でもいいんだが。
「ふふっ♪忘れられないような思い出を作りましょうね~。」
「善処するよ。」
そしてエートリヒの屋敷の前に着き、コンコンと扉をノックした。すると、扉の近くから声が聞こえた。
「入りたまえ。」
その声に従い、イリスと共に中へと入る。
「お邪魔します……ってまた掃除してるんですか?」
「無論だ。国の重役達が来るというのに、埃一つでも落ちていては私の面目が潰れるのでね……。そういう貴公は、また違う女性と一緒にいるようだが?」
「ふふっ、はじめましてイリスと申します。」
にっこりと微笑みながら、イリスはエートリヒに軽く自己紹介をした。
「私は……彼女はもう私の真名を知っているのかね?」
「はい。心配しなくても大丈夫です。彼女は誰にも言いませんよ。」
「ふむ、貴公がそう言うのならば大丈夫だろう。……こほん、すまない自己紹介が後になった。私はアドルフ・エートリヒだ。」
「よろしくお願いしますね。」
ペコリとエートリヒにイリスはお辞儀をすると、エートリヒは何か戸惑った様子で、俺に耳打ちしてきた。
「き、貴公……少し聞きたいんだが、彼女と私はどこかで面識があるような気がするのだ。何か彼女から聞いていないか?」
「いいえ?特に何も……。」
まぁ見たことがあるかもしれないのは事実だな。だって一応この世界で有名な女神だし、教会でも大まかな姿は見られる。
「そ、そうか。ま、まぁひとまず茶を淹れよう。そこの部屋で待っていてくれたまえ。」
なにか解せないような表情を浮かべるエートリヒを背に、俺とイリスは部屋へと入り、紅茶を待つことにした。
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