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第四章

酒に酔うヒイラギ

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「うっ、ちょっと飲み過ぎた。」

 お造りと日本酒という、ベストマッチな組み合わせで予想以上に飲み過ぎてしまった。正直今ちょっと気持ち悪い。
 ウイスキーならいくら飲んでも気持ち悪くなることは無いんだが……。

「お兄さん大丈夫?」

 俺の背中をさすりながら、シアが心配して声をかけてくれた。

「あ、あぁ……ひと眠りすれば大丈夫だ。とりあえず二日酔いしないように、薬を飲んでから寝るよ。」

 ふらふらと立ち上がり棚の引き出しを開けた。確かここに料理長が二日酔いの時に飲んでた薬があるはずだ。

「えっと、あったこれだ。」

 パックに入った錠剤を二個取り出して、水で胃の中に流し込む。これで明日は大丈夫なはずだ。

「めずらしいなヒイラギが酒に負けるとは、我の国であれだけ飲んでも負けなかったというのに。」

「飲んでた酒が甘い酒だったからな、多分それのせいだと思う。」

 いつもあんまり甘くない酒ばっかり飲んでいたからな。そっちに慣れてしまっていたのだろう。

「じゃあ悪いけど、今日は一足先に寝かせてもらうよ。」

 みんなより一足先に布団に入って目を閉じた。横になると気分が少し良くなり、すぐに意識が微睡の中へと沈んでいった。





 いつも起きる時間に近づいたのか、意識がだんだんと覚めていく。

「ん……ん?」

「ふふっ♪おはようございますヒイラギさん。ご気分はいかがですか?」

 目を開けると目の前にイリスの顔があった。どうやらイリスに膝枕されていたらしい。

「あぁ、昨日飲んだ薬が効いてるみたいだ。二日酔いにはなってない。」

「それはよかったです。」

「昨日からずっと膝枕してくれてたのか?」

「いえ、ドーナさんたちが寝静まってから、こっそりとやらせてもらってました。」

 クスリと笑みを浮かべながらイリスは言った。

「別に無理してやらなくてもよかったんだぞ?」

「心配ご無用ですっ。私には本来睡眠も食事も必要ありませんから。」

 そういえばそうだったな。普段の行動があまりにも普通の人間と変わらないから、すっかりそのことを忘れてしまっていた。

「ん、よっと。」

 イリスの膝枕から頭を持ち上げて体を起こす。朝になったからには朝食を作らないとな。

 さて、今日も一日頑張るとするか。
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