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第四章
白子の天ぷら
しおりを挟む「まずは白子を適度な大きさに切り分けて、軽く打ち粉をしようか。」
白子を適度な大きさに切り分け、キッチンペーパーでよく水気をきってから打ち粉をまぶす。白子自体がかなりの水分を含んでいるため、打ち粉をしないと天ぷらの衣が剥がれてしまうのだ。
「油は180℃の温度にして、高温で一気に揚げるぞ。」
打ち粉をした白子に天ぷらの衣をたっぷりと絡ませて、高温の油で揚げていく。揚げ上がりの目安は箸で持ち上げたとき、天ぷらからふつふつと振動が伝わってきたら揚げ上がりだ。
「白子だけじゃ色味が無いな、少し他の野菜も揚げておくか。」
白子だけじゃ盛り付けたときに色味が一色になってしまい、華やかさが無い。だから三日月草等の色のある野菜もいくつか揚げておくことにする。
「後はしっかりと油をきって……。」
天ぷらは揚げ上がるときに、しっかりと油をきっておかないと衣がすぐにサクサクじゃなくなってしまう。他に天ぷらが上手く揚げ上がらない原因としては、衣にしっかりと火が入っていない場合。
よく天ぷらの専門店の人が衣は生物と言う。これは、しっかりと天ぷらの衣にも火を通さなければならないということなのだ。
「グレイスの分は天丼にしておこうか。」
炊き上がったほかほかのご飯の上に、きざみ海苔を振りかけて、軽く天つゆをご飯の上にかける。
そしてその上に白子の天ぷらと野菜の天ぷらを盛り付け、さらに天つゆを上から回しかければグレイス専用の天丼完成だ。
「そういえば、初めてシュベールに行った時の道中でも天丼を作ったな。」
あの時は確かソードフィッシュと、いろんな野菜を天ぷらにして天丼にしたんだよな。ミルタさんが美味しさで、目を大きく見開いていたのをよく覚えている。
「シン達がどんな表情をして食べるのか楽しみだな。」
多分、白子のクリーミーな味わいは初めてだろうから驚くかもしれないな。皆がどんな反応をしながら食べるのか楽しみにしながら、できた料理を皆のもとへと運びに行った。
「みんなお待たせ。」
そして皆の前にバルンフィッシュのお造りを置くと……。
「「「おぉ~……。」」」
と、皆出来栄えに感嘆したような声をあげた。
「これ、盛り付けるのに時間かかったんじゃないの?」
「そんなことないぞ?刺し身を切ったら盛り付けてれば、切り終わるときには盛り付け終わるからな。こっちが天ぷらで、これがグレイス用の天丼な。」
「久しぶりの天丼っす!!美味しそうっす~。」
「さてさて、それじゃみんな食べようか。」
手を合わせると皆も一斉に手を合わせた。
「「「いただきま~すっ!!」」」
すっかり恒例となった挨拶をみんなで終えて、一斉に食べ始める……はずだった。
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