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第四章
バルンフイッシュの調理
しおりを挟む厨房に入った後、お米を研ぎ炊飯器にセットした。そして市場で買ってきたバルンフィッシュを、まな板の上に置く。
「すっかり萎んだな。」
市場で見たときはぷっくりと膨らんで可愛らしい見た目だったのだが……今は萎んだ風船のようになっていた。
「河豚みたいに毒は無いっぽいから、普通に水洗いから始めていくか。」
バルンフィッシュのお腹に切れ込みを入れて、内臓を取り出す。
「これが白子で、これが肝か。」
普通、河豚の肝は猛毒で食べることはできないが、バルンフィッシュには毒がないから、肝が食べられそうだ。
ただ、少量しか取れないから今回は肝醤油にして食べよう。たくさん取れれば、湯通ししてポン酢で食べてもいいんだがな。
「肝は酒に浸けて臭みを抜いておこう。」
肝を酒に浸して生臭みを抜いておく、その間にバルンフィッシュの処理を進める。
「一回綺麗にお腹を洗って、そしたら皮を剥がす。」
血合いを綺麗に洗い落とし、バルンフィッシュの口の部分に切れ込みを入れて皮を剥ぐ。これで後は頭を落として、残った身を三枚におろすだけだ。
「後はこいつを三枚におろして、薄造りにしていこう。」
バルンフィッシュを三枚におろし、丁寧に刺し身を薄く……薄く引いていく。薄造りの刺し身の厚さの目安は、だいたい新聞紙の上に乗せたときにはっきりと文字が見えるぐらいまで薄く切れてれば大丈夫だ。
そして切りつけた刺し身を大皿に一枚一枚並べて、円を作るように盛り付ける。
「これで最後……っと」
最後の一枚を盛り付けた時、大皿にバルンフィッシュの花が咲いた。これは一旦冷蔵庫で冷やしておこう。
「次は肝醤油だな。」
それにしても、河豚のような魚の肝を食べる日が来るとはな。日本にいたときは考えられない。
河豚の肝は死ぬほど旨い……と言われているが、文字通り食べたら死ぬ。だが、それを知っていても食べた人はいるらしい。
食の探求心は恐ろしいものだな。まぁ、その気持ちはわからなくはないが。
「まずは一回肝を湯通しして軽く火を通そう。」
酒に浸した肝を熱湯にくぐらせて軽く火を通す。そしたら氷水できっちりあら熱をとって……。
「しっかりと裏漉す。」
後はこの裏漉した肝に醤油、みりん、ニンニクで味をつければ肝醤油の完成だ。 ちなみに肝が美味しいと有名なカワハギでも同じ作り方で、美味しい肝醤油を作ることができる。オススメだ。
「これでよしっ、後は白子の天ぷらだな。」
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