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第四章
フレイの挑戦
しおりを挟むザッハトルテを食べていると隣にフレイがやって来た。
「あ、あのさ、ヒイラギさん。」
「ん?どうした、足りなかったか?」
「あ、いやそんなことはなかったんだけど……。」
なにやらフレイがもじもじしている。いったいどうしたのだろうか?
「そ、その……ボ、ボクにもこういう美味しいお菓子って作れるかな?」
「あぁ、そういうことか。作り方さえわかれば作れるさ。」
「ホント!?」
ぱぁ…っとフレイの表情が明るくなる。お菓子作りに大切なのは、きっちりと分量を計ることと、作業を丁寧に手早くやること。この二つだ。これさえできればお菓子作りはできる。
「作ってみたいのか?」
「う、うん。ほら、ドーナさん達ってヒイラギさんと一緒に料理してるでしょ?ボクはじゃあお菓子作りたいな……って思ったんだ。」
「うん、良い試みだと思う。今度試しに一緒に作ってみるか?」
「いいの?」
「もちろんだ。」
お菓子作りを手伝ってくれるというのなら、こちらとしても非常に助かる。なにせ一人じゃなかなか手が出せないお菓子も作れるようになるからな。
「やった!!ヒイラギさんありがとう!!」
「今度作るときは声をかけるよ。あ……フレイ、ケーキがピンチだぞ?」
「えっ!?あっ!!」
フレイの食べかけのケーキを指差すと、リリンが今にもフォークで刺して食べようとしているところだった。
「お姉様~!!」
ズンズンと顔を真っ赤にしながらフレイはリリンに詰め寄る。するとリリンは顔中から冷や汗をだらだらと流しながら俺を責め始めた。
「ちょ…ヒイラギ!!なんで言ったのよ!!」
「そんなに食べたいなら今度フレイに作ってもらうんだな。」
「もう!!お姉様にはケーキ作ってあげないからね!!」
プイッとそっぽを向いてフレイは自分のケーキを食べ進める。完璧に怒らせちゃったな。
「そ、そんなぁ~……フレイごめん、ごめんね?もうこんなことしないからぁ~!!」
「……ホントに反省してる?」
「してるっ!!産まれてきてから一番反省してるわっ!!」
「じゃあ、今回だけ特別に許してあげる。」
全力で謝るリリンにフレイは情けをかけてあげたようだ。案外フレイは押しに弱いとこあるよな。リリンも多分それをわかってやってるんだと思うけど。
まぁまぁ、兎にも角にも大きな喧嘩に発展しなくて良かったな。
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