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第四章

二つ目の鍵付きダンジョン

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 そしてあの浜辺に着くと、俺の目の前に予想だにしない光景が広がっていた。

「潮は引いてない、それに水位も下がってない。だが、あれはなんだ?」

 海面に目に見えての異常は見当たらない。だが、いつもの海にはない物がそこにあった。

「なんでこんなとこに扉が……しかも不自然に鍵穴が空いてるな。」

 海面に不自然にできた扉。この前までこんなものはなかった。十中八九先ほどの地震の原因だろう。

「この扉はどこかで……。」

 海面に浮かぶ扉はどこかで見たことのあるような扉だった。

「思い出した、バフォメットのダンジョンの扉に似てる。ただ、あの扉は鍵穴なんてついてなかった。ん?待てよ……この鍵穴まさか。」

 まさか、あれが使えるんじゃないかと思いバッグに手を伸ばすが……。

「しまった、ハウスキットに置いてきてしまったな。」

 焦って出てきたから、ハウスキットにバッグを置きっぱなしにしてきてしまったようだ。

「一度戻るしかないか。」

 津波が来るような予兆はない。皆に安全を伝えるために一度戻るべきだ。

 俺は走ってハウスキットへと戻った。そしてみんなに安全なことを伝える。

「みんな、取りあえず災害の心配は無さそうだ。安心していいぞ。」

「まったくもう、急に飛び出してったから心配したのよ~?」

 大きくため息を吐きながらランが言った。

「すまなかった。でも津波の予兆がわかるのは俺しかいないだろうから、それに危険を犯すのは一人でいい。」

 と、俺が言うとランに額にデコピンを喰らう。

「いっ…つ。」

「そういうのがダメなのよ~?自分だけ危険ならいい~とかそういうのは無し。まぁ今回は見逃してあげるわ。」

 どうやらこれで勘弁してくれるらしい。額はヒリヒリと痛いが……安い代償だろう。

「それだけじゃありませんよね?ヒイラギさん?」

「お見通しか。」

 にっこりと微笑みながら、イリスはそう問いかけて来た。どうやらこの地震でできたアレが、シルケーの予言のものだと気が付いているようだ。

「実は前に釣りした海岸に、大きなダンジョンの扉のようなものがあったんだ。」

「だ、ダンジョンの扉だって!?」

 ドーナが思わず立ち上がる。

「あぁ、鍵穴があるダンジョンみたいだった。」

「鍵穴付きのダンジョン……。本当にそうだとしたら、この国で二つ目の鍵付きダンジョンになるねぇ。」

 深く考え込むようにドーナは言った。

 もしあれが本当に鍵付きのダンジョンなら……今は国の監視もついてないし、ダンジョンキーは俺の手にある。
 このチャンスを逃す手はない。
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