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第四章
女神シルケー
しおりを挟む浜辺に置いてあったベッドに近付いていくと、イリスはおもむろに少女が被っていた毛布をはぎ取った。
「シルケーちゃん朝ですよ~♪」
「なぁぁぁ~っ、その声もしかしてイリスぅ?毛布返して、意地悪しないでよ~。」
毛布をはぎ取られたシルケーという少女は、イリスから毛布を取り返そうとイリスにしがみついた。
「シルケーちゃんは、いっつも寝てばっかりじゃないですかっ。たまには奇跡を起こすだけじゃなく、人の前に姿を現してみたらどうですか?」
「え~……いやだよ~、面倒だも~ん。」
プイッとそっぽを向いてシルケーという少女が言った。どうやら彼女は相当な面倒くさがりのようだな。彼女のことを頭で考察していると、彼女とバッチリ目があってしまう。
「あれ~、イリスその子だれ~?」
こちらを指差して少女がイリスに問いかける。
「私がこの世界に転生させた、ヒイラギさんという方ですよ。」
「あぁ~、前にイリスが言ってた人間くんかぁ~。」
思い出したかのようにシルケーという少女が言った。
「よく覚えてましたね?確かシルケーちゃん、あの時寝てませんでした?」
「うぇへへ~、寝てたけどちゃんとイリスの話は聞いてたよ~?どうどう?見直した~?」
えっへんと無い胸を張ってドヤ顔をするシルケー。少女という姿だからなのか……なぜだろう、親に必死に褒めてもらおうとする小学生のようにしか見えない。
イリスはそのシルケーの頭をポンポンと撫でた。
「お話しをちゃんと聞けて偉いですよ~♪後はその面倒くさがりの性格を治せば完璧ですね♪」
「うへぇ~……それはむりぃ~。だって私から面倒くさがりっていうのを取ったら、な~んにも残らないもん。」
「む~、相変わらず強情ですね。」
一向に面倒くさがりの性格を治そうとしないシルケーに、イリスが頬を膨らませる。
「まぁ、ちゃんと現界はしてなくても、奇跡を起こして信仰を集めているようで安心しましたよ。」
「流石にね~、最低限それくらいはやっとかないと~、私だって生きてかないといけないしぃ~?」
生きるために必要な最低限のことはやるようだな。まぁ、それすらもやらなかったら今頃獣人族の国にいた、アルみたいになってしまってるだろうが……。
ベッドの上でゴロゴロと寝転がるシルケーを見て、こんなのが女神でいいんだろうかと思わず不安になるのだった。
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