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第四章

フレイの逆鱗

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 フレイの前に立ち、落ち着くように呼びかけると、だんだんフレイの瞳の色がもとに戻り始めた。

「あ、あれ…ボク……。」

「ふぅ、落ち着いたみたいだな。大丈夫か?」

「え、あ…う、うん大丈夫。」

 そして、壁にめり込んでいるギルを目の当たりにすると……。

「こ、この人生きてるかなぁ。」

「大丈夫だ。頭から血が出てるわけでもないし、幸いしっかりと呼吸もしてる。」

 壁にめり込んでいたギルを引っこ抜き、ギルドの酒場にあったソファーの上に寝かせる。呼吸も乱れてないし、もうじき目を覚ますことだろう。
 ま、‥顔は真っ赤に腫れているが、それはフレイに気安く触れた代償ってことで受け取ってもらおうか。

「さて、まだ金を取りに行った受付嬢も戻ってこないし、少し飲み物でも飲みながら待つとするか。」

 酒場のマスターに飲み物を頼み、くつろぎながら待つこと数分後……。

「いっ、つつ……。」

 ソファーで横になっていたギルが呻き声をあげた。どうやら目が覚めたようだ。

「あ!!よかったぁ~、生きてて安心したよ。」

 目が覚めたギルを見て、フレイがホッと胸を撫で下ろした。

「オレぁ、なんでこんなとこで寝てんだぁ?それにめちゃくちゃ顔がいてぇ。」

「なんだ、覚えてないのか?」

「あいや、そこの嬢ちゃんの肩に触ったのは覚えてんだが、それ以降の記憶がねぇんだ。」

 腫れた頬を手で押さえながらギルは言った。

「ご、ごめんね?急に触られたから、ビックリしちゃって……。」

 ペコリとフレイがギルに謝る。

「お、おぉ…別に謝るほどのことじゃねぇぜ?嬢ちゃんの気持ちを考えなかった、オレが悪い。すまなかったな。」

 そしてお互いに謝った後、ギルが俺のことを手招きして呼んだ。それに従って近くに歩み寄ると、フレイに聞こえないように俺の耳元で話し始める。

「お、おいオレは、ホントにあの嬢ちゃんにやられたのか!?」

「あぁ、そうだぞ?」

「あんたじゃなくてか!?」

「仮に俺がお前の顔を殴っていたら、今頃首から上が消し飛んでるぞ?俺じゃなくフレイに殴られて、幸運だったと思うことだな。」

 青ざめながらもホッと胸を撫で下ろしたギルだった。
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