転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第四章

フレイ、激怒

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 青果の売り場で、普段の料理に使えるような野菜を買った後、俺達は街中をぶらぶらと歩いていた。

「あ、そうだ‥ちょっとギルドに寄っていきたいんだけどいいか?」

「いいよ~。」

 あいつにシーデビルの討伐報告をしてなかったからな。頭部だけ渡せば証明になるだろうから、とっとと渡して報酬金貰ってこよう。

「っと、ここだ。」

 歩いているとあっという間に、ギルドの前に着いてしまう。

 さて、今日はアイツ来てるかな?見るからに不真面目そうなヤツだったからな。もしかしたら、職務を放って酒を飲んでいる可能性もある。
 まぁ、いなかったら少し待てば呼んできてくれるだろう。そしてギルドの扉を開けて中へと入が……やはり中には以前のように賑わっていない。

「ひっ!?」

 受付嬢も机の下に隠れてしまう。前と変わらない反応だ。

「ひ、ヒイラギさん…なんかすごい怖がられてるけど、何かやったの?」

「なんもしてないぞ?前に来たときにちょっとしたら怖がられてな。」

「どんなお話しをしたのか聞かせて貰っても?」

「それは…内緒だ。」

 クスクスと笑いながらイリスは聞いてきた。恐らく大体察しがついたんだろう。そんなイリスの姿を見て、フレイは首をかしげている。

 すると、二階からドタドタという足音がどんどん下がってくるのが聞こえた。どうやら今日はいたみたいだな。

「あ、あんたぁ…無事だったんだな!?」

「この通り五体満足……怪我もない。それでシーデビルの討伐報酬は、もちろん貰えるんだろうな?」

 驚いているギルにそう問いかける。

「あ‥あぁもちろんだ。だがあいにく今はこのギルドに払えるぐらいの金はねぇ。ちょっと使いに行かせるからよ待っててくんねぇか?それに本当にシーデビルを倒したのか確認もしねぇといけねぇしな。」

「構わない。ヤツの頭部しか残ってないが、それで討伐証明になるか?」

「大丈夫だ。見してくれ。」

 ギルに促されるがまま、バッグからシーデビルの頭部を取り出して床に置いた。 

「報告にあった特徴と一致してる。間違いなくシーデビルだな。」

 少しの沈黙の後にギルは言った。

「まさか疑ってたのか?」

「あたりめぇだろ!!白金級じゃねぇと無理って言っただろうが!!……ったく、酔いも覚めちまったぜ。にしてもあんたぁ、この前の綺麗な姉ちゃんは一緒じゃねぇのか?」

「今日は家で休んでるよ。」

「っかぁ~、羨ましいこったねぇそんなに女を侍らして……嬢ちゃんもまだ幼さが残ってるが、べっぴんさんだなぁ?」

 そしてギルは羨ましがりながら、ポンとフレイの肩に手を置く。その次の瞬間……凄まじい衝撃と共にギルの頭がギルドの壁にめり込んだ。

「ボクの体に……軽々しく触るなッ!!」

 触れられたことでフレイは激怒し、目が真っ赤に染まっていた。背中の服が少し盛り上がっているから、羽も出てしまっているだろう。

「ふ、フレイ……と、取りあえず落ち着け!!」

 真っ赤に染まった目で、ギルを睨み付けるフレイをなんとか落ち着かせようと、俺はフレイの前に立った。
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