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第四章
バルンフィッシュ
しおりを挟むマーレの街に入り、俺達は市場へとやって来た。時間は昼に近くなりつつあるがやはり人が多い、まだまだ稼ぎ時の時間帯のようだ。
海街ということもあって、やはり魚介類のお店が多く目につくな。
「食べたいものとか、気になるものがあったら、遠慮せず言ってくれよ?」
せっかく来たんだ、気になるものとかがあったら買ってあげたい。
「うん!!」
「わかった。」
シアとメリッサが手をあげて言った。
「でもこんなにたくさん色んなものがあると、目移りしちゃいますね。」
「見たことない魚とかいっぱいいるよ。この魚も釣れるのかな~?」
イリスとフレイの二人は、お店の前に並べられた魚を眺めていた。
シュベールの市場より魚の種類がかなり豊富だ。多分あっちは湖で、こっちが海という漁場の違いから魚の種類も変わっているのだろう。
「メリッサちゃん見てみて!!あのお魚ぷく~って膨らんでる!!」
「ほんとだ…まんまる…かわいい。」
シアとメリッサが見ていた魚は、まるで河豚のようにお腹がぷっくりと膨らんでいる魚だった。
「河豚みたいな魚だな。毒とかないのか?」
こういうのを確かめるために鑑定がある。
「鑑定。」
バルンフィッシュ(無毒種)
・刺激すると大量の空気、もしくは水を体に取り込んで丸く膨らむ。
・有毒種と無毒種が存在。有毒種は体のいたるところにトゲが生えており識別可能。
・身は淡白な白身で美味。
「なるほど。やっぱり毒のあるやつもいるんだな。」
毒のあるやつは鑑定の結果を見る限り、多分ハリセンボンっぽい見た目だと思う。見分けが簡単につくってのは楽でいいな。
「二人ともあれ、食べてみるか?」
「あれ食べれるのっ!?」
シアが驚き、目をパチパチと見開く。
「あぁ、美味しいらしいぞ。」
「う~ん…かわいいからかわいそうだけど‥‥美味しいなら食べてみたい!!」
一度悩んだシアだったが、やはり美味しいという甘い言葉には勝てなかったらしい。
「わかった。店主、これを5匹くれ。」
「あいよっ!!銀貨25枚だ。」
意外にもそんなに高くはない。日本で河豚を買うってなったら、結構な値段するんだけどな。安さに驚きながらも、店主に銀貨を渡し、バルンフィッシュを受け取った。
「お魚楽しみっ♪」
シアは今晩の夕御飯を想像して、よだれが垂れそうになっていた。
とびっきり美味しいの作ってやるからな。
さて、次は何を買おうか。辺りの店を見渡しながら市場を進んだ。
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