上 下
646 / 1,052
第四章

クリドラのいる日常

しおりを挟む

 クリスタルドラゴンがここに来て、1日が過ぎた……。

「のぉ~、主やぁ~ワシの名は考えついたか~?」

 朝食を食べ終わって、コーヒーを飲みながらゆっくりとしていると、クリスタルドラゴンが体を揺さぶってくる。

「検討中だ。」

「おぉ!!検討中ということは、いずれ名をくれる予定ではあるのだな!?」

 キラキラと目を輝かせているクリスタルドラゴンの頭が、背後から鷲掴みにされ持ち上げられた。

「名前なら、昨日ワタシ達で考えてあげたじゃない?」

「ぬっ!?お主サファイアドラゴンッ!!昨日は良くも変な名をワシにつけてくれたなっ!!」

「ワタシには、ランっていう名前があるんです~っ!!それに変な名前ですってぇ!?いい名前じゃないさ~まっ?」

「んぎぎっ、お主ズルいぞ!!ワシもツガイの相手から名をもらいたいのじゃ~っ!!」

 ランに片手で持ち上げられながら、必死に手足をバタバタと動かしてクリスタルドラゴン……仮称クリドラが猛抗議する。

 昨日からこの二人はずっとこの調子だ……。ランも最初こそクリドラをある程度は敬っていたが、今ではこんな感じで扱いが雑になりつつある。
 まぁ、良く言えばフレンドリーに接している……のかもしれない。

 二人が啀み合っているのを遠巻きに眺めながら、俺は今日の予定を組み立てる。

「今日は、買い出しに行かないとな……。食材のストックが少なくなった。」

 クリドラも例に漏れず大食漢で、ランやグレイスと同じぐらいご飯を食べる。
 昨日は初めてちゃんとした料理というものを食べたのもあって、本当に……とんでもない量を食べていたのだ。

「ヒイラギさん、ボクもお買い物ついて行ってもいいかな?」

「今日は私もご一緒したいです♪」

「もちろんいいぞ。ランとドーナは……うん、クリドラの相手で忙しそうだな。」

 クリドラは街に連れて行くと、何か厄介なことが起きそうな予感がする。このまま二人に構っていてもらおう。

 そして俺はシアとメリッサの二人に声をかけた。

「シア、メリッサ、買い物行くぞ~。」

「お買い物っ!!」

「おかいもの…たのしみ!」

 クリドラのことをラン達に任せ、マーレに買い物に向かうのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い異世界転生。何も成し遂げることなく35年……、ついに前世の年齢を超えた。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

異世界転生したら何でも出来る天才だった。

桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。 だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。 そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。 =========================== 始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。

異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く

りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

処理中です...