転生料理人の異世界探求記（旧 転生料理人の異世界グルメ旅）

第四章

クリドラ

　あのまま外で駄々をこねさせておくのも目立つので、一先ず彼女には人化してもらい、ハウスキットの中へと招き入れた。

「おぉ！！なんとも珍妙な愛の巣だのぉ……。」

「だから愛の巣なんかじゃないって。」

　人化に慣れていないクリスタルドラゴンは、ランのように大人の女性の姿にはなれず、シア達と同年代ぐらいの子供の姿になってしまっている。

　同い年ぐらいの子供が入ってくれば、シア達の目を引くのは至極当然で……。

「お兄さん！！その子……だれ？」

「あたらしい…ともだち？」

　クリスタルドラゴンに向かって、シアとメリッサの二人が興味を持ち、駆け寄ってきた。

「おぉ娘っ子……む？娘？」

　何かに気付いたクリスタルドラゴンは、俺に勢いよく詰め寄ってくる。

「お、おぉぉお主っ！！どちらの娘じゃ！？もう子作……むごっ！！」

「は～い子供の前だからな～？それ以上は厳禁だ。一応補足しておくが……。」

　クリスタルドラゴンの耳元で、シアとメリッサを俺が今保護していることを伝えた。

「なんじゃ、そうだったのか。余計な心配じゃったな。」

「ねぇねぇ、お名前は～？」

「ワシの名か？名など無い、あるのはクリスタルドラゴンという品位ある種族名だけじゃ。」

「ん～……じゃあシアがお名前考えてあげる！！」

「おもしろそう…わたしも…かんがえたい。」

「ふ～む、名前なんぞに魅力は感じぬが……。」

　クリスタルドラゴンは少し悩むと、くるりと俺の方を向いて、にやりと笑う。

「お主に名をもらえるなら……承っても良いぞ？」

　そう言ったクリスタルドラゴンの頭が鷲掴みにされる。

「はいはーい、名前ならワタシ達が考えてあげますからね～、クリドラ様～。」

「く、クリドラとな！？そんな名は嫌じゃ！！お、おいどこへ連れて行くのじゃ～！！」

　そしてクリドラ……もといクリスタルドラゴンは、ラン達に引き摺られて、奥のソファーの方へと向かっていった。

「……やれやれ、なんかまた賑やかになりそうな予感がする。」

　奥でギャーギャーと騒ぎながら、名前を議論するクリスタルドラゴン達の姿を見て、一つため息を吐くのだった。