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第四章

だだ漏れの本音

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 きっぱりと断ると、一瞬呆けていたドラゴンがカッと目を見開いて詰め寄ってくる。

「な、なんでじゃ!!ワシのようなのドラゴンがお主の手に収まるのじゃぞ!?」

 あ……一応最高位のドラゴンだったんだ。さっきのダイナミックな土下座といい、涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔といい、全然そうは見えない。

「いや、だって……それってお前の自己満足だろ?」

 そう指摘してやると、ギクリと顔から大量の冷や汗を流し始めた。

「そ、そんなことないのじゃ~。」

 下手くそな口笛を吹きながら、視線を反らす自称最高位のドラゴン……。

「ま、俺は何も褒美なんていらない。強いて言うなら、何事もなくここから立ち去ってくれれば、それが一番の俺への褒美だ。」

 そしてクルリとドラゴンに背を向けて、ハウスキットに戻ろうとすると……。

「待ってほしいのじゃあぁぁ~!!」

 強靭な腕で足を掴まれてしまう。

「ワシを貰ってほしいのじゃあぁぁ~!!」

「ええい!!離せって、歩きにくいだろうがッ!」

「お主がワシを貰うと言うまで、この手は絶対に離さんッ!!」

 意地でも離すまいと、ガッシリ俺の足を両手で掴んでくる。普通の人間なら、握りつぶされていてもおかしくない位の力でな!!

「絶対に逃がさないのじゃっ!!婚期を逃し続けたワシに訪れた……この一世一代の好機っ!!意地でもモノにするのじゃあぁぁぁぁ!!」

「本音が駄々漏れじゃねぇかッ!!そういうのは間に合ってるッ!!」

 ついには本音を駄々漏れにしながら、足にすがり付いてくる。そしてズルズルとドラゴンのことを引きずりながら、何とかハウスキットの前にたどり着く。

「おぉ!!これがワシとお主の愛の巣かの!?ちと狭そうだのぉ……。」

「違うわっ!!」

 キラキラと目を輝かせているドラゴンを尻目に、俺はハウスキットの扉をノックする。するとランが顔を出した。

「あ、ヒイラギ!!無事ね?」

「……助けてくれ。」

「えっ!?なになに、ちょっとどうしたのよ!?」

 率直に助けてほしいとランに言うと、焦ったような表情になる。俺は自分の足を指差した。

「へっ?足?」

 そしてランは、俺の足をガッシリとつかんでいる白銀の鱗に包まれた手を目にする。

「訳のわからないドラゴンに絡まれてるんだ。助けてくれ。頼む。」

「なんですって!?」

 ドラゴンというワードにランは敏感に反応し、ハウスキットの外に出た。

「ちょっと!!このオスは私のツガイなんだ……けど。」

「む?サファイアドラゴンではないか、何故お主がこんなところに居るのじゃ?」 

 ランは俺の足を掴み、引きずられているドラゴンを目にして固まってしまった。
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