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第四章
ドラゴン違い?
しおりを挟む眠気でウトウトして、あともう少しで眠れると思っていた頃……それは起こった。ドオォォン…と、まるで雷が間近に落ちたかのような轟音が辺りに鳴り響いたのだ。
「ッ!?なんだ!?」
眠気で朦朧としていた意識が無理やり覚醒する。その瞬間、肌でビリビリととても強い気配を感じた。何かヤバイやつがきた…俺は一瞬でそれを悟る。
「みんな、絶対に中でじっとしてろ。リリン…みんなを頼んだぞ。」
絶対に外にでないように告げて、俺は轟音のしたハウスキットの裏手へと向かう。ハウスキットの裏は先程の轟音と衝撃で、目の前が見えないほど砂煙が立ち込めていた。
前はなにも見えないが確かにそこには何かがいる…警戒しながら砂埃の奥を見つめていると声が響く。
「ようやく見つけたぞカオスドラゴン。」
その声がした瞬間、辺りに立ち込めていた砂煙が突如起こった暴風に拐われその声の主が姿を現した。
太陽の光に反射してピカピカと輝く白銀の鱗を全身に身に纏い、巨大な二対の翼を広げた一頭のドラゴンがそこには鎮座していた。その宝石のように煌めく真っ赤な目で俺を捉えると首をかしげた。
「む?なんとも面妖なものに化けているな。だがワシの目は誤魔化せんぞ?カオスドラゴンや。」
どうやらこのドラゴンは、カオスドラゴンと俺を勘違いしているらしい。
「あ~、なんと言えばいいのか、人違い……いやドラゴン違いをしてるぞ?俺はカオスドラゴンじゃない、人間だ。」
ちゃんと違うとそのドラゴンに言ったが、フフンと鼻で笑われてしまう。
「またつまらん嘘を…ワシが一度求愛したお主の匂い、そして気配を容姿が違うというだけで間違うはずなかろう?」
少し顔を赤らめながらそのドラゴンは言う。
「あ、あの…ホントに違うんだが……。」
冷や汗を流しながらそう述べると、そのドラゴンは二足で立ち上がり近づいてきた。そしておもむろに俺の体を両手で掴み持ち上げる。
「なっなにを……!!」
「ええい、暴れるでないわ。大人しくしておれ。」
抵抗しようとするとギュッと力を込めて押さえ付けられ、一切身動きができなくなる。圧倒的な力に驚いているとドラゴンは、ぬっと顔を近づけてきた。
「スンスン……すぅ~…はぁ~……。」
何をされるかと思ったら、あろうことか鼻をならして俺の体の匂いを嗅ぎ始めたのだ。
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