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第四章
お土産
しおりを挟むハウスキットの扉を開けて中へと入る。
「ただいま~。」
「「ただいま~!!」」
扉を開けるなり、シアとメリッサがハウスキットの中へと駆け込んだ。
「おかえりなさい。楽しかったかしら?……ってフレイには聞くまでもなさそうね。」
俺の背中から顔を出しているフレイを見て、微笑みながらリリンは言った。
「ひ、ヒイラギさん、もう大丈夫だから下ろしてくれないかな?」
「わかった。」
腰を下ろしてフレイを背中から下ろした。
「あ、ありがと。」
「あらあら~?フレイ、顔が真っ赤よ?どうしたのかしらね~?」
顔を真っ赤にしてうつむいているフレイに、クスクスと笑いながらリリンが近付く。
「も、もう!!お姉様からかわないでよ。はいっ、これお姉様とライラのお土産っ!!」
ぐいっと強引にリリンに潮祭のお土産を押し付けて、フレイは奥のソファーの方へと行ってしまった。
「ちょっとからかいすぎじゃないか?」
「いいじゃない?あぁいうフレイの豊かな表情を見るのが私の楽しみなんだからっ♪さてさて何が入ってるのかしら~?」
さっそくフレイが買ってきたお土産を開封するリリン。
「あら?何かしらこれ。」
リリンが手に取ったのはアプメルだった。どうやらフレイは、リリン達にもこれを食べてほしかったようだな。
「アプメルっていう小さいアプルの実を飴で包んだお菓子だ。フレイも美味しいって言って食べてたぞ?」
「あらそうなのね、いただきま~す。」
口を開けてリリンはアプメルにかじりつく……が、フレイと同様に硬い表面にカキリと歯が弾かれてしまった。
「あぅっ!?か、硬い……。」
「無理せずゆっくり舐めて食べたほうがいいぞ?自慢の牙が折れるかもしれないからな。」
「う……そ、そうするわ。ライラも食べる?」
大人しくリリンは、ペロペロとアプメルを舐めて食べ始めた。にしてもさっきのリアクション……フレイとまったく同じ反応をしてたな。あぁいうところは見てて姉妹って感じがする。
「ヒイラギよ、もちろん我の分も土産はあるのだろう?」
「あぁ、ちゃんと買ってきたぞ。ほら。」
バッグから屋台で売っていた肉の串焼きを取り出してシンに渡した。
「肉ではないか!!わかっておるな。」
そしてシンは大きく口を開けて、串焼きにかぶりついた。
「うむ、美味い。人間の国は、美味いものが多くて羨ましいな。」
美味しそうにシンは串焼きを食べている。その様子を見ていたら、誰かに後ろから肩をちょんちょん……と指でつつかれた。
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