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第四章
酔いが覚めたフレイ
しおりを挟むマーレを出てハウスキットへ向かっている途中……。
「ん、ふぁ……。」
背中でフレイがあくびをしながら背伸びをしていた。どうやら起きてしまったらしい。
「ふぇっ!?な、なんでボクっ……。」
背中からフレイの驚く声がする。
「ん?もう酔いが覚めたのか?」
「あぅ……な、なんでボク、ヒイラギさんにおんぶされてるの?は、恥ずかしいよ。」
「あら、覚えてないの?」
「お祭りで甘い飲み物を飲んだのは覚えてるんだけど……そこからの記憶がないよぉ。」
その甘い飲み物っていうのが、アルコールが入ったお酒だったんだろうな。それで酔ってからの記憶はないと。
「フレイが飲んだのはお酒だったんだ。それで酔っぱらっちゃって、今までの記憶がないんだろう。」
「お酒?あれお酒だったの!?ボク、お酒弱いのに……ぼ、ボク…変なこととかしてないよね!?」
「大丈夫だ。特に気にする必要はないぞ。」
本当はいろいろあったが……。まぁ言ったら気にしてしまいそうだからな。別に言わなくてもいいだろ。ドーナ達も黙ってくれてるしな。
「そ、そっか。よかったぁ~安心したよ。」
背中でフレイがホッと胸を撫で下ろしているのがわかる。
「あっ!!そういえばご、ごめんね。ずっとおんぶしてもらっちゃって……重かったでしょ?い、今おりるよ。」
「別にこのままでもいいぞ?多分まだ足取りも覚束ないだろうし。」
むしろ最初おんぶしたときは、軽すぎてビックリしたぐらいだからな。
「で、でも……。」
「いいじゃない?たまには言葉に甘えるってことも大事よ?」
「そうそう、無理して怪我されても大変だからねぇ~。」
フレイを後押しするように二人が言った。二人がこんな風に言うなんて珍しいな。酔っぱらっていたフレイとなんかあったのかな?
「ま、二人もこう言ってくれてるし、もう少しで着くからゆっくりしてていいよ。」
「うん、わかった。ありがとう。」
そこから少し歩くと、明かりがついた建物が見えてきた。今ごろシン達が腹を空かせて待っていることだろう。
「そういえば、リリン達にお土産は買ったのか?」
「もちろん買ったわよ~。」
「それを聞いて安心した。」
買って来なかったら、後で何を言われるかわかんないからな。シンなんかは、食べ物には目がないから妬まれそうだ。
そんなことを思いながら歩いていたら、あっという間にハウスキットの前に着いてしまった。
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