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第四章
フレイご乱心
しおりを挟むバイル達との会談を終えた後、祭りの賑わいがまだ残る夜の街を一人歩いていた。
「ドーナ達、もう帰っちゃったかな?」
少し遅くなってしまったからな。祭りで、はしゃぎ疲れたシア達を連れて、帰っているかもしれない。
「なんか昼より人がたくさんいる気がするな。」
通りには昼間よりも多くの人がいるように見える。それと夜になってお酒を飲む人も増えたせいか、一層賑やかだ。人混みを掻い潜りながら、ドーナ達を探して歩いていると……。
「お兄さん捕まえた!!」
「ぱぱ…みつけた。」
いつの間にか俺の腰に、シアとメリッサの二人が抱きついていた。そして二人を追って、ドーナ達が人混みを掻き分けて近づいてきた。
「急に走り出したと思ったら、そういうことだったのね~。」
「お疲れ様だったね、ヒイラギ。」
「あぁ、待たせてすまなかったな。」
一言ドーナ達に謝罪していると、フレイがフラフラとした足取りでこちらに近づいてくる。心なしか顔が少し紅潮しているように見えるな。
「ひいりゃぎさぁぁん!!」
「うおっ!?ど、どうしたんだ?」
近づいてきたと思ったら、呂律が回ってない声で俺の名前を呼びながら、シア達と同様にフレイも抱きついてくる。
「じ、実はねぇ……。」
ドーナがフレイに何があったのか教えてくれた。聞くところによると、どうやらジュースと間違ってお酒を買い、口にしてしまったらしい。
「それで酔っ払った……と」
「ぼくはきゅうけちゅきらから、よってにゃい!!」
フレイは酔ってないと言い張っているが、この様子を見るに完全に酔っぱらっている。
「ぼくらってぇ~、ひいりゃぎさんと、も~っといっしょにいたいんらよぉ~。うぅ~……。」
先程まで笑っていたのに、今度は涙目になって服にグリグリと頭を押し付けてきた。酔っぱらって感情の制御ができてないみたいだ。
「ご、ごめんな。」
一先ず宥めようと、しばらくフレイの頭をポンポンと撫でていると、服越しにフレイの安らかな寝息を感じた。
「酔い潰れて寝ちゃったか?」
起こすのも可哀想だし……仕方ない背負って帰るか。ドーナとランにシア達のことをお願いして、俺はフレイのことをおんぶした。
華奢な体をしているから、全く重さは感じない。ただ、吐息が耳にかかって少しくすぐったい。
「さて、じゃあそろそろ帰るか。」
そして潮祭を満喫した俺達は帰路についたのだった。
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