転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

文字の大きさ
上 下
622 / 1,052
第四章

革命の始まり

しおりを挟む

「ダグラス、お前はどうするんだ?」

「……ッ。わ、私は陛下のお心が知りたい。なぜ我々を洗脳する必要があったのか、なぜこんな信頼を裏切るようなことをしたのか……聞いてみたい。」

 バイルの問いかけに神妙な面持ちでダグラスは答えた。多分この人は、国王に真の忠誠を誓っていた人なんだろう。だから簡単には裏切るという決断ができずにいるのだと思う。

「ダグラス、あなたが陛下を思う気持ちはわかります。ですが、我々の役目というのは、陛下が誤った道を進んでいたら、それを正すことだと思うのです。」

「‥‥道を正す手段が謀反だというのか?」

「それ以外に方法はないでしょう。仮にこの後、あなたが陛下にその心中をお聞きに行ったとして、その後に待っている結末……。それはわかりきっていますよね?」

「……。」

 カムジンの言葉にダグラスは押し黙った。彼の言う結末というのは、洗脳のこと。そして彼が再び洗脳されれば、バイルやカムジンの二人も国王に呼び出され再び洗脳されかねない。

 心の中でそれを悟ったダグラスは、ポツリと呟いた。

「私は……私は何をすればいい?教えてくれ。」

「協力していただける……ということでよろしいですか?」

「あぁ。」

 そしてダグラスは、一度忠誠を誓った国王を裏切り、俺たちに協力するという苦渋の決断を下した。

「皆さんに勘違いをしてほしくはないのですが、俺達が起こすのは単なる謀反ではなくです。」

 謀反を起こすのは簡単だ。戦争に反対の兵士達を使って、国王を武力制圧すればいいだけだからな。だが、それではダメだ。
 別に国王の死体が見たい訳じゃないし、血で血を争う何てことはしたくない。だからこそ、国民の協力が不可欠。

「国民の戦争に反対の人の署名を集めて、国王に突きつけ、正当な理由で国王の座から降りてもらいます。」

「なるほど、それなら私が活躍できそうだ。各街の長に書状を出しておこう。」

 カムジンは早速自分の役割を見つけたらしい。この人は頭の回転が速いな。

「じゃあオレは兵士達の署名を集める。あの中にも戦争に反対してる奴が溢れてるからな。」

 バイルは兵士達の署名を集めてくれるようだ。

「わ、私は何をすればいい?」

「ダグラスさんは、国の何を任されてますか?」

「私は国の財政を任されている。」

「それなら、戦争のため税金を大幅に引き上げると、嘘の通達を各街に出してください。」

「そ、その程度でいいのか?」

「それだけやってもらえれば十分です。きっとそれで不満が溢れると思うので。」

 これで準備は整った……後は向こうにこちらの動きを悟られないようにするのみだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い異世界転生。何も成し遂げることなく35年……、ついに前世の年齢を超えた。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...