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第四章

王の器とは…

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 それから少しすると、ダグラスとカムジンの二人が目覚めた。彼らは洗脳されていた間の記憶が全く無いようだ。ルーカス達と全く同じだ。
 一方、バイルは洗脳されていた間の記憶が少し残っているらしい。恐らくステータスに記載されていた通り、70%しか洗脳されていなかったからだろう。

「さてオーナルフ卿、ダグラスとカムジンも目覚めた……早速話を聞かせてもらおう。」

「わかりました。」

 エートリヒは、彼らに洗脳魔法のことを話した。

「なるほどな、理解した。」

「バイル殿は今の話を信じるのですか?」

 眼鏡をかけたダグラスという男が、バイルに問いかける。

「信じるも何も、オレには陛下に洗脳された瞬間の記憶がある。信じる他あるまい。」

 記憶があるバイルはあっさりと信じてくれたが、ダグラスとカムジンの二人は、まだ少し信じれないようだ。

「陛下が良からぬことを考えているのはわかった。その上でオーナルフ卿、貴様は何を企んでいる?」

 バイルはエートリヒを威圧するような目で睨む。エートリヒは少し間をおいてから話し始めた。

「少し勘違いをしておられるようですね。企んでいるのは私ではありません。そこにいるあなた方の洗脳を解いた彼ですよ。」

 エートリヒの一言で皆の視線が一気に俺に集中する。

「貴様…名は?」

「ヒイラギです。そしてオーナルフ卿の言うとおり立案者は俺です。質問は俺にどうぞ。」

「では、ヒイラギ……単刀直入に聞く。いったい、オレ達に何をさせるつもりだ?」

「……あなた方には、国王を失脚させる手伝いをしていただきたい。」

「なっ、謀反を起こすつもりか!?」

ダグラスが声を荒げ言った。

「落ち着けダグラス、まだ話は終わってはいない。陛下を失脚させたい理由はなんだ?」

「今回の戦争を止めるには、それしか方法がない。わかりますよね?」

「なるほどな。では最後の質問だ、なぜそんなに戦争を止めることにこだわる?」

「その答えは、協力を確約してくれたら教えましょう。」

 バイルの目を見てハッキリと言った。すると彼は口角を上げてニヤリと笑い、こちらを見た。

「ふっ、そうか。ではオレはお前達に協力しよう。」

「なっ…なっ、しょ、正気か!?バイル殿!!」

「あぁ、オレはコイツらに協力する。生憎オレにも戦争を止めなきゃいけない理由があるからな。」

 バイルのまさかの決断に、ダグラスはあわてふためく。そして今の今まで沈黙を貫いていたカムジンが口を開いた。

「では、私も協力をさせていただこう。」

「か、カムジン殿まで……いったいなぜ!!」

「今の陛下は国王の器にあらず、洗脳という卑劣な手段を使い無理矢理意見を通すなど、王がすることではない。」

 そして三人のうち二人が協力を決断した。このダグラスという男は、どのような決断を下すのだろうか?
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