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第四章
重役の洗脳を解け!
しおりを挟む先程気絶させた彼らをベッドに寝かせた後、早速洗脳の解除に取りかかることにした。
前回と同じく、ブレスオブディザスターを使い、彼等と国王との洗脳による繋がりの鎖を可視化させる。そして一つずつ力を流し込んで破壊していった。
「これでよし。鑑定。」
鑑定スキルを使い再び三人のステータスを確認し、状態異常の項目が空白であることをしっかりと確かめた。
「これで洗脳は解けました。後は目を覚ますまで待ちましょう。」
「こうして間近で見てみると、あなたのその力の異様さがよくわかるわ。」
「これを俺達にもやったんだろ?」
洗脳解除の一連の流れを見ていたルーカス達は、俺の力に驚いていた。驚くのも無理はない。もともとは自分の力じゃないし、それ以前に人間の力じゃないからな。
「身体的には、何も影響はないので安心してください。」
「その言葉を聞いて安心したぜ。」
「ルーカスってば心配性だからね~。」
ホッと胸を撫で下ろしているルーカスを見て、クスクスとルシアが笑う。
「逆にルシア、お前は心配しなさすぎなんだよ。」
「そりゃあ私はルーカスと違って胆が太いからね~。」
えっへんと無い胸を張るルシアを見て、ルーカスは呆れ顔で深くため息を吐いた。
「そういえば、皆さんは随分親しげですが、どういった関係なんですか?」
「オーナルフから何も聞いてないのか?」
「はい、特には……。」
「オーナルフと私達はね~、小さい頃からの幼なじみなんだよ~?」
なるほど、ようやくオーナルフとルーカス達がとても仲が良かったことに合点がいった。
「なるほど、そういうことでしたか。」
「驚いたかね?」
「いえ、薄々そんな感じかな……とは思っていたので。」
そんなことをオーナルフ達と話していると……。
「ぐっ……こ、ここは?」
筋骨隆々でバイルと呼ばれていた男が、二人より先に目を覚ました。
「バイル様、ここはオーナルフ卿の屋敷でございます。」
ルーカスがバイルのベッドの近くで跪いて言った。
「オーナルフ卿の屋敷…だと?なんで俺はこんなところに……っていかん!!陛下を止めなければ大変なことにッ!!」
「バイル様、落ち着いてください。」
エートリヒが冷静な声で、バイルという男にそう告げる。
「これが落ち着いていられるか!!陛下はッ……。」
「わかっております。そのために国の重役である、あなた方に来ていただいたんですから。」
「なんだと!?」
「話はそちらのお二方も起きてから、お話しいたしましょう。それまで少し体をお休め下さい。」
「むっ、ダグラスにカムジンもいるのか…わかった。そっちの二人が起きたら、しっかりと事情を説明してもらうぞ。」
「はい、もちろんでございます。」
そして俺達はダグラスとカムジンの二人が起きるまでシン……と静まり返った部屋で待った。
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