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第四章

工夫をこらした一撃

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 砂埃の中から悠然と姿を現したシーデビルに、心底驚いた。全身全霊……間違いなく渾身の一撃だったものを喰らって尚平然としている。

「タフなやつだな。」

 シーデビルのとてつもなく高いタフネスに、半ば呆れながら悪態を吐いた。しかし困った……今の攻撃が通らないとなれば、ほぼ全ての攻撃が奴の防御を貫くことができない。

「少し工夫が必要かな。」

 例えば、龍の体の下で発動している散桜を一点に集中させるとか……。ものは試しだ、やってみよう。

「右手に全てを集めるイメージ……。」

 右手を握り締め全ての力を右手に集中させる。淡い桜のような色のオーラが、右手に集中すると赤い椿のように真っ赤に染まっていった。
 凝縮した力が溢れないように、右手の形を更に龍に近づけていく。

「これで……どうだ?」

 直後、シーデビルが大きな口を開けて飛び込んできた。

「正真正銘……コレが俺の最大出力だッ!!」

 目の前に鋭い牙が迫った瞬間、俺は真っ赤なオーラを纏う拳を振り抜いた。その拳は、シーデビルの硬い鱗に覆われた下顎をいとも簡単に貫通し、脳天を貫く。

 シーデビルが即死したのを確認し、突き刺さっていた腕を引き抜く。

「また一つ成長できたな。」
 
 とは言っても、まだまだこの技は改良の余地ありだ。派生もできるだろうし、もっともっと研究が必要だな。

「ヒイラギ~!!」

 戦闘が終わったのを確認して、先程まで岩陰に隠れていたランがこちらに走ってきた。

「怪我はない?大丈夫?」

「あぁ、大丈夫だ。」

 ランに大丈夫であるということを伝えると、彼女はホッ…と胸を撫で下ろした。

「はぁ~、もう見てて凄いヒヤヒヤしたのよ?」

「すまないな、予想以上にこいつが強かったんだ。」

 砂浜に力なく横たわるシーデビルを指差して言った。本当にこいつを白金級の冒険者は討伐できるのだろうか……少なくともセドルでは無理だったろうな。

「だってヒイラギの奥の手の攻撃耐えてたもんね?どんだけタフなのよこいつ……。」

 ランの言うとおり、今までに類を見ないほどタフだった。まぁそのおかげで成長できたのも、また事実。

 こいつには感謝しないとな。
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