転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

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第四章

お礼

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 浜辺から帰ろうとしていた時、波打ち際に見覚えのある黒い背ビレが見えた。

「あっ!!お兄さんおっきいお魚さんがいるっ!!」

「また来たのか、今度は何しに来たんだろうな。」

 ザブザブ…と足で水を掻き分けながら彼の方に近づくと、背ビレをピコピコ動かしながら彼もこちらに近づいてきた。そして目の前に迫ると、彼は海面に顔を出してキュイと鳴いた。

「今度は何をしに来たんだ?」

 頭を撫でながらそう問いかけると、彼は口を大きく開けた。その口の中にあるものが入っていた。

「これは鍵?」

 取り出してみるとそれは何かの鍵だった。

「これを渡しに来たのか?」

「キュイッ!!」

 ふむ鑑定してみれば何の鍵かわかるかな?

「鑑定。」



・ダンジョンキー

施錠されたダンジョンを開けることができる鍵。



「ダンジョンキー……これくれるのか?」

 彼に問いかけるとコクコクと頷いた。

「別にお礼なんてよかったのに、お前は魚なのに義理堅いやつだな。」

 褒めながら彼の頭を撫でていると、もっと撫でろということなのだろうか、彼は俺にお腹を見せた。その要望に答えながら、このダンジョンキーの使い道について考えていた。

「こんな大層なものを貰ったのはいいが、どこで使えるんだこれ?」

 今までダンジョンというものは一つしか見てない。ドーナなら何か知っているだろうか。

「なぁドーナちょっといいか?」

「なんだい?」

「この国に施錠されたダンジョンなんてあるのか?」

「施錠されたダンジョンかい?この国だと王都の勇者の墓ってダンジョンが鍵がかかってるって話だよ?」

「勇者の墓か。ずいぶん物騒な名前のダンジョンだな。」

 でも王都にあるのか、流石にそれは手が出せないな。多分厳重に管理されてるだろうし、何より鍵が開いた……なんてことになれば騒ぎになるのは間違いない。

「急にそんなことを聞いてどうしたんだい?」

「いや、今彼から貰ったこの鍵、鑑定してみたらダンジョンキーだったんだ。」

「うえっ!?そ、それホントかい?」

「あぁ、ホントだ。」

 後にドーナから聞いた話だが、どうやらこのダンジョンキーというやつは国の学者達が血眼になって探しているものらしい。勇者の墓に入るために……。
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