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第四章
フードの女
しおりを挟む背後に鋭い殺気を感じ、飛び退く。飛び退いた先には海があったため、着地した瞬間に水飛沫が上がった。
そして構えをとってフードの女に向かい合った瞬間、戦慄が走った。
「なっ……!!」
フードの女の構えが俺と全く同じだったのだ。しかも違和感の一つすらない、綺麗で洗練された熟練の構えだ。
「お前は何者だ!!」
そう問いかけるが、答えとして返ってきたのは鋭く重い拳だった。
「くっ。」
なんとか無力化はできた……しかし水が足に纏わりつき、思うように動かない。とっさに距離をとったのはいいが、これでは逆に不利になってしまっている。
相手も詰めてきているから状況は同じはず……なのだが、さっきの動きは水の影響など全く感じさせない動きだった。
「ふっ、未熟だな。」
フードの女はポツリとそう呟くと再び加速し、連撃を浴びせてくる。足が水の抵抗を受けているため、一つ一つの攻撃を捌く際にワンテンポ遅れてしまう。
そして、当然それはギリギリの駆け引きをしている際には大きな足枷となる。
「ぐあっ!!」
連撃の一つが重く横腹に突き刺さる。途端に、口の中に鉄の味が広がった。
良い一撃をもらったが、当然のごとくフードの女は連撃を止めない。寧ろ激しさを増した。
「ぐっ……。」
一つ攻撃が入ると、一つ……また一つと攻撃が当たり始める。連撃なのに一つ一つが重い。これをこのまま受け続けるのは不味い。
「はぁッ!!」
連撃の最中、足元の水に拳を叩き付け、大きく水飛沫を上げた。
「ほぅ……。」
そして水飛沫で相手の目が眩んでいる隙に、なんとか砂浜に移動することができた。
「はぁ…はぁ。」
未だに海水に足をつけているフードの女は、こちらを見て唯一確認することができる口元を、ニヤリと歪ませながら、ゆっくりと砂浜に歩いてきた。
「足をとられる海水より、しっかりと足が使える砂浜に移動するか……いい判断だ。」
フードの女は、あれだけの連撃をしていたにも関わらず息一つ乱していない。
「だが、水の抵抗がなくなったのは私も同じ。状況は変わらない。」
「どうかな?」
ダメージは超再生で回復した。もう体に問題はない。
このフードの女には生半可な戦い方では勝てない……と、判断し俺は龍桜を使った。
「龍桜……。」
不覚はとったが……ここから全力でやらせてもらおう。第2ラウンドだ。
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