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第四章

ハプニング

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「ごちそうさまでした……。ふぅ、美味しかったな。」

 料理を食べ終わり俺達は今少しお腹を休めていた。少し残っていた紅茶を飲み干して、ほぅ…と息を吐き出していると……。

「お、お客様!!困ります!!」

 突然先程のウエイトレスの声が聞こえる。何かあったのかな?

「シン、食べ終わった直後で悪いが……。」

「うむ、わかっておる。」

 こちらの意図を察したシンは、すぐにバッグの中に入った。

「何かあったのかねぇ?」

「さぁな。」

 個室の外の音に耳を澄ましていると、今度はウエイトレスの声ではなく男の怒声が聞こえた。

「オイ!!ここに黒髪の男がいるってのはわかってんだ!!怪我したくなきゃさっさとそいつを出しやがれ!!」

 黒髪の男?もしかして……俺か?

「なぁ、ドーナ。こっちの世界で黒髪って珍しいのか?」

「珍しい部類に入ると思うよ?アタイだって黒髪の人を見たのは、ヒイラギが初めてだし。」

「と、いうことは……だ。やつらの目的は俺っぽいな。」

 大きくため息を吐き出し、俺は個室の扉を開けて外に出た。次の瞬間、店の中にいた男とバッチリ目が合う。その男は先程沈めた船に乗っていた、あの大男だった。

 その男は、今にも殴りかかってきそうな勢いで、俺の前に詰め寄ってきた。

「てんめぇ~!!見つけたぞ!!」

「あ、店員さんこれ料理の代金。」

 男を軽く無視し、ビクビクと怯えているウエイトレスに料理の代金として金貨一枚を手渡す。

「む、無視してんじゃねぇ!!」

 無視されたことで、怒りが頂点に達した男が俺を殴ろうと拳を振り抜く…が、その拳が俺に届くことはなかった。
 拳が届くその前に、伸びた俺の手が男の顔を掴んでいたからだ。

「むごッ!?」

「ここは他人様のお店の中だぞ?暴れて物が壊れたりしたらどうするんだ?」

 徐々に男の顔を掴む手に力を込める。ギシギシと頭蓋骨が軋むのが直に伝わってくる。

 当然それをされている当の本人には、激痛がはしっているわけで……何とか手を外そうと叫びながらもがいていた。

「話はゆっくり……外で聞いてやる。」

 そのまま男を片手で持ち上げ、俺は店の外へと出た。
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