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第四章

運命の一手

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 彼を鑑定するが、危惧していた状態異常にはなっていなかった。というのも、国王がもし彼を洗脳していたとしたらステータスに現れると思っていたのだ。

 以前、隷属化というステータスもバッチリ映ってたし……。ステータスを確認し、確証を得たところで、彼が口を開く。

「貴公が紹介状にあったヒイラギ……で間違いないか?」

「えぇ、間違いないです。」

「そうか、まぁ来たまえ。貴公は私に害をなす存在ではないようだ。茶を交えながらゆっくり話すとしよう。」

 すると彼はカツカツ……と階段を上っていった。

「つ、着いていって大丈夫かい?」

 ドーナが耳元でそう囁く。派手な歓迎をされたから、警戒する気持ちも分かるが……一度話を聞かないことには何もわからない。

「多分大丈夫だと思う。だが警戒は緩めない方が良さそうだ。」

 彼の後を追って、階段を上がる。そして一つの部屋の中へと案内された。

「入って好きなところに腰かけてくれ。」

 案内された部屋は、ホコリ一つない、とてもきれいな部屋だった。ここだけ掃除を欠かさずしているのだろうか?そんなことを思いながら、部屋の中をキョロキョロと見渡していると……。

「ここが綺麗なのが不思議かね?」

 こちらの心を読んだかのように彼は問いかけてきた。

「はい。」

「雑草が伸びきった中庭と、ホコリだらけの入り口を見れば、ここだけ綺麗にしてあるのはさぞかし不思議に映るだろう。」

 トポトポとカップに紅茶を注ぎながら彼は言う。そして人数分の紅茶を持って、向かい合うように座った。

「さてさて、貴公は私のことをどこまで知っているのだね?それをゆっくり聞かせてくれたまえよ。」

「俺が知っているのは、あなたが謀反を起こされた国王の子孫だ……ということだけです。」

「なるほど、理解したよ。それで、私に何の用かね?」

 本題を話す前に、今俺が何をしようとしているのか話さないとな。

「今の国王が獣人の国に戦争を仕掛けると言ったのはご存知ですよね?」

「あぁ知っているとも。国中の話題になっている出来事だからね。」

「俺にはどうしても、それを止めないといけない理由があるんです。」

 その言葉に彼は紅茶を飲む手を止めた。そして真剣な面持ちでこちらを見つめて言った。

「詳しく聞かせてくれるかね?」

「わかりました。」

 嘘偽りなく、彼に戦争を止めなければいけない理由を話した。これを聞いた彼がどう動くか……それ次第で未来が変わる。
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