571 / 1,052
第四章
アドルフ・エートリヒ
しおりを挟む一服を終えた俺は、今回ドーナと共にオーナルフという人物に会うため、街へと駆り出してきていた。今回は危ないかもしれない……という理由でシア達はハウスキットでお留守番だ。
ストックしてた料理をいくつか出してきたし、昼ご飯には困らないはずだ。
「関所の兵士が言うには、もうそろそろ着くって話だけど。」
「あの大きい屋敷じゃないか?」
指差した方向には、明らかに他の住宅とは違う、豪華で大きな屋敷があった。
「あれっぽいねぇ~。」
「近くまで行ってみるか。」
あそこがオーナルフという人物の屋敷と信じて、私とドーナは屋敷の方へと歩きだした。そして近くまで来たので門の前にある表札を見てみると……。
「確かにオーナルフって書いてあるな。」
表札で確認しているとひとりでに門が開いた。突然のことで思わずビクッとなってしまう。
「入れってことか?」
「そうみたいだねぇ。」
何が待っているかはわからない。一応最大限に警戒はしておかないとな。開かれた門をくぐり、中庭へと足を踏み入れる。
「手入れされてなさそうだな。雑草が生え放題だ。」
「これだけ大きな屋敷なのに、メイドを雇ったりしてないのかねぇ~。」
これだけ広い屋敷を持ってるなら、メイドの一人ぐらい雇う金はあると思うんだが……。今のところ誰もこちらを出迎えてくれるような人物は現れない。そして中庭を抜けて屋敷の扉の前に立った。
「さて、いよいよか。ドーナ、何が待ってるかわからない。警戒はしておけよ?」
「わかってる。」
警戒しながら扉を開ける。ギギギ……と重い音をたてて、少しずつ扉が開いている最中だった。
「っ!!」
ヒュン……という風切り音と共に、俺に向かって矢が射られた。とっさに片手で矢を掴みとると、矢の先端からポタポタと液体が垂れている。
無造作にポイッと矢を放り投げて、屋敷の中に入ると階段の上に一人の弓を構えた人物が見えた。
「今のを無力化するか、ただ者ではないなご客人。」
「あなたがオーナルフさん……ですか?」
「いかにも……と言いたいところだが、ご客人が用があるのはエートリヒではないのかね?」
「えぇ、そうです。では改めて聞きましょうか?あなたがエートリヒさんで間違いありませんか?」
「あぁいかにも、私がエートリヒ……アドルフ・エートリヒだ。」
ビンゴ……だが、俺にはもう一つ確認することがある。彼に悟られないように鑑定を使った。
15
お気に入りに追加
636
あなたにおすすめの小説
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる