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第四章
ブラックフィッシュとの再会
しおりを挟む貝をとっていると俺の尻をツンツンと、誰かがつついた。
「ん?」
メリッサかフレイが魚でも釣ったのかな?そう思って後ろを振り返ると……。
「キュイッ!!」
「お前は……もしかして昨日のブラックフィッシュか?」
そう問いかけると、再びキュイッと鳴いた。どうやらそう言うことらしい。遊べ……という仕草なのだろうか、腹を見せて胸ビレを動かしている。
「なんでまたこんなとこに……こんな岩場に来たらまた打ち上げられちゃうぞ?」
ブラックフィッシュのお腹を撫でながらそう言った。
「ヒイラギ?どうかしたの?」
「あ、いや……。」
どう答えようか迷っていると……。
「キュイッ!!」
俺が答える前にブラックフィッシュがランに反応してしまった。
「あら?その子、どうしたの?」
「実はな、昨日の声の主がこの子なんだ。」
「へぇ~、かわいいじゃない?こんな魚もいるのね~。」
釣竿を一旦引き上げたランは、ブラックフィッシュのことを撫でていた。
「ラン、昨日の空っぽの大きな水槽……覚えてるか?」
「覚えてるわよ?ブラックフィッシュだったかしら?」
「多分、この子がそうなんだ。」
「えっ!?ホントに!?確かに真っ黒だけど……。」
ランは撫でながら、ブラックフィッシュの体を観察し始めた。
「確か説明書きには、海の食物連鎖の頂点って書いてあったわよね。でもこの子からそんな感じはしないわね~。」
「キュイッ!?」
「あら?」
恐らくランは、可愛いからそんな感じがしないと言ったんだろうが……ブラックフィッシュにはそれが理解できなかったようで、ガーン……と擬音が聞こえそうなほど落ち込み、ブクブクと水の中へと沈んでいった。
「そ、そんなに落ち込むことはないと思うぞ?」
沈んでいたブラックフィッシュの頭をクイッと持ち上げて言った。いざ持ち上げてみると、彼の瞳がうるうるとしている。
「ランだってお前が可愛いからそう言ったんだ。でも本当は強いんだろ?」
「キュイ!!」
すると、何かを決意したかのように鳴いた彼は、身を翻して沖の方へと泳いでいってしまった。
「行っちゃった……わね。」
「あぁ、多分戻って来ると思うけどな。」
「どうして分かるの?」
「ん~、なんかそんな感じがするんだ。」
まぁ、彼が戻ってくるまで、貝でも探しながら時間を潰すとしようか。
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