561 / 1,052
第四章
秘密の釣り場へ
しおりを挟む「ふわぁ……ん~っ!!」
「眠そうだなフレイ。」
みんなを起こして例の釣り場所へ移動している最中、フレイが大きなあくびをしている。
「う~ん、こんな朝早くだと流石にちょっと眠いかな。」
朝陽が昇るか昇らないか位のこの時間帯は、流石にフレイにとってはキツイ時間帯のようだ。それに対して他のみんなはというと……。
「お魚さんいっぱい釣るの!!」
「わたしもっ!」
「ねぇドーナ、どっちが大きな魚を釣れるか勝負しない?」
「いいねぇ~、望むところだよ。」
と、こんな感じで和気藹々としている。朝の眠気より、楽しみという気持ちの方が大きいようだな。
「おっ!?砂浜が見えてきたな。」
ハウスキットを出て少し歩くと砂浜が見えてきた。多分あそこが昨日聞いていた釣りのスポットだな。ちょうど良く登れそうな岸壁もあるし、人が歩いた形跡もない。
「さてと、それじゃ準備をするか。」
バッグから釣り竿を出して組み立てる。複雑な作りじゃないから、素人でも楽に組みたてることができる。餌はこの前ウォータードラゴンが持ってきてくれた魚の余りを使うとしよう。
「ヒイラギさん!!みてみて~!!」
先ほどとは違い活気に溢れた声で、フレイが俺のことを呼びながら、こちらへと向かってきた。その右手には何かが握られているようだ。
「何か捕まえたか?」
「うん!!みてよこれ!!」
そしてフレイが見せてきたものは、なにやら巻き貝を住みかにしているカニのような、エビのような生き物だった。ヤドカリにとても似ている。
「ヤドカリかな?」
「これヤドカリっていうの?ぐるぐるの殻を一生懸命持ち上げながら動いてるの、かわいかったんだぁ~。」
ちょんちょん…とヤドカリのような生き物をつつきながらフレイは言った。
「多分他にももっといろんな生き物がいると思うぞ?例えば、あそこの岩をひっくり返したりすれば、カニとか出てくるんじゃないか?」
波打ち際にある手頃な岩を指差してフレイに教えてあげると……。
「えっ!?ホント?ちょっと行ってくるね。」
ヤドカリを浜辺において、フレイは一目散にその岩の方へと駆けていった。海というものをとても楽しんでくれているようだ。
「お楽しみはまだまだこれからなんだけどな。」
最後の釣り竿を組み立て終わり、俺は餌になる小魚を切り身にしていく。
「よし、みんな準備できたぞ~。」
そして砂浜で遊んでいたみんなに声をかけた。
14
お気に入りに追加
635
あなたにおすすめの小説
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
異世界転生したら何でも出来る天才だった。
桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。
だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。
そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。
===========================
始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。
アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活
ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。
「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。
現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。
ゆっくり更新です。はじめての投稿です。
誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる