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第四章
秘密の釣り場へ
しおりを挟む「ふわぁ……ん~っ!!」
「眠そうだなフレイ。」
みんなを起こして例の釣り場所へ移動している最中、フレイが大きなあくびをしている。
「う~ん、こんな朝早くだと流石にちょっと眠いかな。」
朝陽が昇るか昇らないか位のこの時間帯は、流石にフレイにとってはキツイ時間帯のようだ。それに対して他のみんなはというと……。
「お魚さんいっぱい釣るの!!」
「わたしもっ!」
「ねぇドーナ、どっちが大きな魚を釣れるか勝負しない?」
「いいねぇ~、望むところだよ。」
と、こんな感じで和気藹々としている。朝の眠気より、楽しみという気持ちの方が大きいようだな。
「おっ!?砂浜が見えてきたな。」
ハウスキットを出て少し歩くと砂浜が見えてきた。多分あそこが昨日聞いていた釣りのスポットだな。ちょうど良く登れそうな岸壁もあるし、人が歩いた形跡もない。
「さてと、それじゃ準備をするか。」
バッグから釣り竿を出して組み立てる。複雑な作りじゃないから、素人でも楽に組みたてることができる。餌はこの前ウォータードラゴンが持ってきてくれた魚の余りを使うとしよう。
「ヒイラギさん!!みてみて~!!」
先ほどとは違い活気に溢れた声で、フレイが俺のことを呼びながら、こちらへと向かってきた。その右手には何かが握られているようだ。
「何か捕まえたか?」
「うん!!みてよこれ!!」
そしてフレイが見せてきたものは、なにやら巻き貝を住みかにしているカニのような、エビのような生き物だった。ヤドカリにとても似ている。
「ヤドカリかな?」
「これヤドカリっていうの?ぐるぐるの殻を一生懸命持ち上げながら動いてるの、かわいかったんだぁ~。」
ちょんちょん…とヤドカリのような生き物をつつきながらフレイは言った。
「多分他にももっといろんな生き物がいると思うぞ?例えば、あそこの岩をひっくり返したりすれば、カニとか出てくるんじゃないか?」
波打ち際にある手頃な岩を指差してフレイに教えてあげると……。
「えっ!?ホント?ちょっと行ってくるね。」
ヤドカリを浜辺において、フレイは一目散にその岩の方へと駆けていった。海というものをとても楽しんでくれているようだ。
「お楽しみはまだまだこれからなんだけどな。」
最後の釣り竿を組み立て終わり、俺は餌になる小魚を切り身にしていく。
「よし、みんな準備できたぞ~。」
そして砂浜で遊んでいたみんなに声をかけた。
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