転生料理人の異世界探求記(旧 転生料理人の異世界グルメ旅)

しゃむしぇる

文字の大きさ
上 下
545 / 1,052
第四章

チーズにご用心

しおりを挟む

 次はチーズピザを食べようかな。そう思って手を伸ばしチーズピザを手に取った。
 すると隣でメリッサが、現在進行形でチーズピザを食べていた。

「んんっ…のびる…たのしい。」

 ピザの上にのっているチーズが、びよーん…と伸びている。伸びるチーズに追い付くべく、メリッサがはぐはぐと忙しく口を動かしている。

 これも焼き立てならではだな。

「ふわぁ~……次、シアもそれ食べる!!」

 メリッサが食べているのを見てシアが目を輝かせ、今食べていたマルゲリータを急いで口に頬張っていた。一気に食べたから、頬がリスみたいに膨らんでいる。

 うん、かわいい。

 二人のそんな姿を見ながら、俺もチーズピザを口に運ぶ。たくさんチーズをのせたから、チーズ好きにはたまらない一品だ。

 口からピザを離すと、やはりチーズが伸びる。伸びるチーズを楽しみながらピザを頬張っていると、なにやらシンがあたふたしているのが目についた。

「むおぉぉ!?わ、我のたてがみに……。」

 シンもチーズピザを食べていたようで、伸びたチーズが自慢のもふもふのたてがみに付着していた。

 あたふたしているシンに紙ナプキンを差し出した。

「ほら、これで速く拭き取れ。冷めると固まって取れにくくなるぞ?」

「う、うむ……助かる。」

 シンは紙ナプキンを受け取り、たてがみに付いたチーズを拭き取った。

「ふん、食べるのが下手くそね~。」

 シンのことを鼻で笑うリリンだったが……。

「お姉様、服にチーズ付いてるよ?」

「うえっ!?う、嘘っ!?ちょ、あなたさっきのやつ私にもとってよ!!」

「はいはい……。」

 慌てふためくリリンにも紙ナプキンを渡す。受け取ったリリンは急いでチーズを拭き取っていた。

「この服お気に入りだったのに……。」

「油汚れぐらい別に洗えば良いだろ?洗剤だってまだまだ余ってるし……。」

 チーズ位の油汚れ程度なら、軽くぬるま湯で洗っても落ちるし……洗剤を使えば一発だ。

「じゃああなたが洗ってくれるのかしら?」

「別に良いぞ?てか今の今までリリンだけだぞ、洗濯物出してないの……。」

 他のみんなは、その日着た服をシャワールームにある籠に入れてくれていたから、夜中に洗濯して乾燥までしっかりしていたが……。リリンの服だけいつもなかったのだ。

「そ、そうなの?じゃ、じゃあ今日からお願いするわ。私の服で変なこと……しないでよね?」

「するわけないだろ。何を心配してるんだまったく……。」

 恥ずかしがりながらもジト目でこちらを見てくるリリン。

 一つため息を吐きながら、俺はミックスピザを手に取り口に運んだ。

「はぁ、うまいなぁ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...