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第四章
チーズにご用心
しおりを挟む次はチーズピザを食べようかな。そう思って手を伸ばしチーズピザを手に取った。
すると隣でメリッサが、現在進行形でチーズピザを食べていた。
「んんっ…のびる…たのしい。」
ピザの上にのっているチーズが、びよーん…と伸びている。伸びるチーズに追い付くべく、メリッサがはぐはぐと忙しく口を動かしている。
これも焼き立てならではだな。
「ふわぁ~……次、シアもそれ食べる!!」
メリッサが食べているのを見てシアが目を輝かせ、今食べていたマルゲリータを急いで口に頬張っていた。一気に食べたから、頬がリスみたいに膨らんでいる。
うん、かわいい。
二人のそんな姿を見ながら、俺もチーズピザを口に運ぶ。たくさんチーズをのせたから、チーズ好きにはたまらない一品だ。
口からピザを離すと、やはりチーズが伸びる。伸びるチーズを楽しみながらピザを頬張っていると、なにやらシンがあたふたしているのが目についた。
「むおぉぉ!?わ、我の鬣に……。」
シンもチーズピザを食べていたようで、伸びたチーズが自慢のもふもふのたてがみに付着していた。
あたふたしているシンに紙ナプキンを差し出した。
「ほら、これで速く拭き取れ。冷めると固まって取れにくくなるぞ?」
「う、うむ……助かる。」
シンは紙ナプキンを受け取り、たてがみに付いたチーズを拭き取った。
「ふん、食べるのが下手くそね~。」
シンのことを鼻で笑うリリンだったが……。
「お姉様、服にチーズ付いてるよ?」
「うえっ!?う、嘘っ!?ちょ、あなたさっきのやつ私にもとってよ!!」
「はいはい……。」
慌てふためくリリンにも紙ナプキンを渡す。受け取ったリリンは急いでチーズを拭き取っていた。
「この服お気に入りだったのに……。」
「油汚れぐらい別に洗えば良いだろ?洗剤だってまだまだ余ってるし……。」
チーズ位の油汚れ程度なら、軽くぬるま湯で洗っても落ちるし……洗剤を使えば一発だ。
「じゃああなたが洗ってくれるのかしら?」
「別に良いぞ?てか今の今までリリンだけだぞ、洗濯物出してないの……。」
他のみんなは、その日着た服をシャワールームにある籠に入れてくれていたから、夜中に洗濯して乾燥までしっかりしていたが……。リリンの服だけいつもなかったのだ。
「そ、そうなの?じゃ、じゃあ今日からお願いするわ。私の服で変なこと……しないでよね?」
「するわけないだろ。何を心配してるんだまったく……。」
恥ずかしがりながらもジト目でこちらを見てくるリリン。
一つため息を吐きながら、俺はミックスピザを手に取り口に運んだ。
「はぁ、うまいなぁ。」
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