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第四章

ヒイラギの食べたいもの

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 シアとメリッサは丘の上で走り回ったりして遊んでいたが、満足したのかこちらへと駆けてきた。

「満足したか?」

「うん!!」

「ぱぱ…きょう…うみいく?」

「そうだな、散歩しに行ってもいいな。」

 ミルタさんの紹介状もまだ届いてないだろうし、今日中に例の人物に会うのは厳しいだろう。それなら、軽く街並みを見てから海辺を散歩して帰るというのもありだな。

「お兄さん、シアまたお魚釣りしたい。」

「魚釣りか、明日朝早くに行ってみるか?」

「さかな…つり?」

「うん!!こうやってお魚と引っ張りあうの!!」

 首をかしげるメリッサに、シアが竿で魚を釣り上げるような仕草をして見せた。

「おもしろそう…ぱぱ…わたしも…やりたい。」

 シアの仕草を見て目をキラキラと光らせて興味津々の様子のメリッサ。

「あぁ、わかった。なら今日釣竿をもう一本買って来よう。」

 海街って位だから魚釣りの専門店もあるだろうし、そこならきっといい竿が買えるはずだ。

「さて、それじゃ二人とも中に入ってご飯にしよう。みんなも待ってるからな。」

「うん!!」

「おひるごはん…たのしみ。」

 二人と手を繋いで店の中へと入った。

「さてさて、それじゃあ何を作ろうかな。」

 食材はたんまりとあるし、やる気にさえなれば何でも作れる。一先ずみんなに意見を聞いてみるか。

「みんなは何か食べたいものとか、なにかあるか?」

「う~ん、そうねぇ……。逆にヒイラギは何かこれを食べたいとかってないの?」

「たまにはアタイ達が食べたいものじゃなくて、自分の食べたいものを作ってもいいんじゃないかい?」

「我も同意見だ。ヒイラギの作るものに間違いはないからな。」

「そうか。」

 自分が食べたいものか……今の気分は何だろうな。

 少しの間目を閉じ考えた後、ふと頭の中にある料理が思い浮かんだ。そういえばアレを久しく食べてない。窯はないけどオーブンで代用はできるし、作れないこともない。そうと決まれば、動きだそう。

「よし、決めたぞ。」

「なににするの?」

「それはできてからのお楽しみだ。」

「え~……そういう風に言われると気になるわ~。」

 気になって仕方ない様子のラン達を背に、俺は着替えるためにロッカールームへと向かった。
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